| 武田 |
実際に歩いてみると、井月さんは、かなりの距離を歩いていたことがわかりますが、当時は、どんな格好で歩いていたんでしょう。 |
| 春日 |
日記などによれば、春から夏、秋にかけては草鞋やぞうりだったようですね。こんな句があります。『施顔(ひるがお)や切れぬ草鞋の薄くなる』。これは夏の句ですね。冬になると、雪駄を履いていたようです。石ころ道はまだいいですが、泥道は大変だったでしょう。そういう時は、井月さんは歩かなかったでしょう。歩く時は、泥が凍った時とか…。訪れた家で足袋をもらった、という記録もありますね。 |
| 武田 |
寒い季節には苦労したでしょう。 |
| 春日 |
冬には、こんな句もあります。『雪の丈歯のたけ下駄の小道かな』。下駄の歯の丈に雪が降った、という情景ですね。 |
| 武田 |
中沢、東伊那を歩いてきましたが、風景がずいぶん違う印象がありました。 |
| 春日 |
そうですね。東西に深い中沢の谷、南北に傾斜した東伊那の地形。それぞれに味わいがありますね。 |
| 武田 |
火山峠の芭蕉の松も、井月が旅の途中で見上げたと思うと、感慨深いものがあります。 |