| 武田 |
日本は文明社会を目指してきた一方で、吉野地方で現在も続けられているような文化的な要素が失われてしまいました。文明も大事ですが、21世紀は、日本林業の文化も大事にしたいですね。 |
| 内田 |
そうですね。林業を大事にすると同時に、自分たちが土台にすべきものは、よそから持ってきたものではなくて、もともと自分たちの地域にあるんだ、ということ。その上で必要があれば、新しい技術を開発する―というふうに考え直していきたいですね。新しいものだけがよくて、そうでないものは切り捨ててしまうことがないように―。 |
| 武田 |
それは、住宅についても言えることです。まだまだ50年、100年も住める家をどんどん壊す時代になってしまった。 |
| 内田 |
日本は、現在の家屋の平均寿命は30年満たないと言われていますから、欧州で100年以上使われるのが当たり前、というのは衝撃的です。 |
| 武田 |
それから林業を考えた時、最近ボランティアの数が非常に増えています。その点についてはどう考えますか。 |
| 内田 |
ボランティアそのものを否定するのではなくて、ボランティアで出来ることと出来ないことは、はっきり分けて考えた方がいいと思います。というのは、今日本では森林面積が2500万fありますが、少なくみてもそのうちの半分は、かなり問題がある状況にあると思っています。となると、その面積は1250万f。一方で、ボランティア一人あたりが継続的に山林を手入れすることができる面積は、10e程度ではないか、という意見がボランティアの側から出ています。ということは、もしも日本の森林問題をボランティアの力によって解決するためには、1億2500万人の森林ボランティアが必要という計算になってしまいます。 |
| 武田 |
日本の総人口が、すべて森林ボランティアにならないといけない―。 |
| 内田 |
それはとても無理な話ですから、何か別の方法を考えなくてはいけない、ということになります。今、日本の森林ボランティアの数は全国で20万人と言われています。その数で計算すると、2万fという数字が出てきます。とても大きな面積ですが、日本の人工林1千万fのわずか0・2%にしかならないんですね。ですから、森林ボランティアの活動によってだけでは森林問題は解決できないということです。そして、山のプロがプロなりにやっていけるだけの社会システムを整える必要があります。 |
| 武田 |
我々の子孫のことも考えながら、日本の林業について考えていきたいですね。 |