| 武田 |
菊地さんが経営しているフロンティアは、日本が経済成長をした後、いわゆるバブル経済崩壊の後に始めた会社でしたね。 |
| 菊地 |
やっていて良かったと今は感じています。資金的にも仕事も大変な時でしたが、あの時を考えると、今はお客様をはじめ従業員に感謝しています。 |
| 武田 |
少量の注文にも何でも応じる―ということだそうですが、そうなると従業員の皆さんも、相当な器量がないと対応できませんね。 |
| 菊地 |
お客様の要望は100%きかなければいけない―というものづくりがフロンティアの基本です。量産工場ではないので、一つひとつの仕事が、いかに量産のように物が流れていくかということですね。機械のレイアウトや人の配置など、お客様の希望を取り入れた形のものづくり―ということで進めています。現在は、お客様も、そういう仕事だということを認識してくださっています。受注を受けた段階で、現場の係と納期の打ち合わせ、材料の発注をします。そういう流れを毎日していますから、自然と身についていますね。 |
| 武田 |
従業員の皆さんも、常に勉強していないと対応できませんね。 |
| 菊地 |
従業員の中にベテランの技術者がいます。定年後に入社してもらった人たちで、若い従業員に技術を教えてもらっています。技術を上から下へ、どんどん教えてもらおうと。 |
| 武田 |
今、2007年問題とも言われて、大量の団塊の世代の人たちが定年を迎える年を前に、そうした人たちが持っている技術をどうやって伝承していくかが問題になっています。フロンティアでは、すでに技術を伝承する形を、しっかりと作っているということですね。 |
| 菊地 |
そうです。自分たちの加工業を考えてみると、そういう技術者が本当に欲しいんです。それによって、会社も安定させたい。ですから団塊の世代の定年じゃなく、団塊の世代の再挑戦という形で考えていけたらと。 |
| 武田 |
2007年問題というのは、フロンティアにとっては一つのチャンスと言えるかもしれませんね。 |
| 菊地 |
このチャンスをつかんで、次のステップに入っていきたいと考えています。 |
| 武田 |
それは、会社名のフロンティアにも通じる精神―。 |
| 菊地 |
そうですね。改革、挑戦、いろんな意味がありますが、自分自身も前向きに挑戦していきたいと思っています。お客様も、それに期待してフロンティアに目を向けていただいていると思っていますから―。 |
| 武田 |
菊地さんの前向きさ、元気の源は。 |
| 菊地 |
自分自身は北海道出身で、20歳の時に長野県に来ました。高校を卒業して長野県に来る時、父親が「がんばれよ」と言ってくれた、その言葉が今でもずっとあるんです。それが原点です。 |
| 武田 |
自分が父親にかけてもらった言葉のように、菊地さんも従業員に対して気持ちを向けて―。 |
| 菊地 |
そうです。一つは人を大事に。もう一つは笑いが絶えない、あいさつができる。仕事以前に、このことを大切にしています。 |
| 武田 |
ネクストエナジー・アンド・リソース社では、新しい取り組みを始めているそうですね。 |
| 伊藤 |
太陽光発電のパネルは、住宅よりも寿命が長いと言われています。太陽光発電のパネルを設置するお客様は、すでに住宅を建てている人が多いので、築10年、20年という住宅にパネルをつけ、家を建て替える時にそのパネルはまだ寿命がありますから、有効に利用しようと我々が買い取って、検査をして保証をつけて販売するというリサイクル、リユースの仕組みを作りました。 |
| 武田 |
小水力発電の普及はいかがですか。 |
| 伊藤 |
まず水利権の問題。そして、需給バランスの課題もありますね。発電する場所と電気を使う場所が離れていることが多くて、送電していると無駄が多くなる―ということです。発電するけれど電気を使う場所がない、電気が欲しいけれど発電する場所がない―これが一致する場所がなかなか見つからないという現状がありますね。 |
| 武田 |
地域の自治体を中心に仕組みが進められると、また状況が変わる可能性も。 |
| 伊藤 |
そうですね。 |
| 武田 |
小水力発電がもっと知られていって、水利権の問題が解決できれば、将来有望なエネルギーだと思いますね。 |
| 伊藤 |
それと、燃料電池というのもあります。その電気を使って水素を作り、その水素を動かして燃料電池の車に入れる―などの技術が進めば、さらに状況が変わってくると思っています。 |
| 武田 |
これからは、どんな事業に力を入れていく方針ですか。 |
| 伊藤 |
太陽光に力を入れていきたいと思っています。今までは、太陽光発電は、7、8割が訪問販売でした。我々はリサイクルを活用するなど、今までと違うやり方で進めてみたいと思っています。 |
| 武田 |
21世紀というと、環境問題とエネルギー問題が注目される時代。伊藤さんがこの自然エネルギーに興味を持ったきっかけは。 |
| 伊藤 |
10年以上前になりますが、あるテレビ番組で、熱帯雨林の皆伐をテーマにしたドキュメンタリーを見ました。それから環境問題に興味を持って、本を読んだり調べたりするようになって、「これは、このままだと大変なことになる。環境問題にかかわる仕事をしたい」と思うようになりました。 |
| 武田 |
これからの展望、そして悩みといえば。 |
| 菊地 |
加工業は今、経済状況からいえば、いい状況にあります。悩みといえば、これがいつまで続くか―ということです。ただ仕事をしているだけでは対応できないでしょうから、小さい企業は企業なりにアピールしていくことだと思っています。例えば、自分の会社は何が得意で、何ができるか、それをこれからは、どんどんアピールしていきたいと考えています。 |
| 武田 |
どんな方法でアピールを。 |
| 菊地 |
人にたくさん会うということ。それと、フロンティアを売るのではなくて自分を売る、ということですね。自分、菊地自身を知ってもらうこと。これが、これまでも効果がある方法だったと思っています。 |
| 武田 |
仕事以外でもたくさんの人に会う、ということですね。 |
| 菊地 |
そうです。それと、会社には少ない人数ですが、日本人だけではなく、マレーシアや中国、ブラジルなど外国の従業員がいます。これからの加工業を思えば、そういう人たちの力を借りないとやっていけないと考えています。若い人たちが少なくなってきますから、小さい会社では、なかなか若い人を採用できなくなってきます。ですから、フロンティアで考えたシステムで実行していけたらと。 |
| 武田 |
これからは、外国の人たちも従業員として、前向きに進んでいく、ということですね。 |
| 菊地 |
そうです。そうでないと、大変な時が来ると思っています。技術だけでなく、仕事への対応力、これが重要です。そして、外国の人が従業員として来ても、その人たちに夢を与える、ということ。その夢が大事だと思います。例えば、マレーシア、中国、ブラジルの人―ということではなくて、フロンティア人を育てたい、という発想です。外国からの従業員は、いずれは自分たちの国へ帰りますから、夢を持って、その夢に向かっていってほしい、と。 |
| 武田 |
伊藤さんは、いかがですか。 |
| 伊藤 |
我々の思いと、お客様のとらえ方とのギャップが大きい―ということを、この2年間の経験で感じています。例えば小水力発電でも、我々は非常に必要だし有効だと感じていても、なかなか実現していかない。そのギャップを縮めながら、お客様の立場に立って使ってもらえるものを提案していきたいと考えています。 |
| 武田 |
環境問題には多くの人が関心を持っていますから、あとは具体的にどうしていくか。それを提示していくということですね。 |
| 伊藤 |
そうです。理想だけではなくて、売れるものを提案していかなければならないので、お客様が本当に買ってみたいと思える商品や仕組みを提案していきたいと。 |
| 竹村 |
業種は違いますが、信州らしい、伊那谷らしい事業を展開している2社だと思いますね。いろんなヒントをお聞きすることができたと思っています。発刊した「信州伊那谷からの挑戦」にはこの2社をはじめ、多くの企業の元気な経営ヒントが詰まっていますから、ぜひ参考にしてほしいと思います。 |