| 武田 |
この2年間のキャンペーンで、一番感じたことは。 |
| 三井 |
小中規模の企業の中に、非常に個性のある経営者が多かったこと。商品も個性的でした。 |
| 南 |
経営者の皆さんが個性的で、人間的に魅力的でしたね。 |
| 竹村 |
近くにありながら、これまであまり知られていなかった優れた企業を再発見できたと感じています。 |
| 武田 |
今回発刊された「信州伊那谷からの挑戦」は、どんな内容でしょうか。 |
| 竹村 |
伊那毎日新聞の紙面で「輝く!経営者」として紹介させていただいた中小企業の元気な経営者の皆さんの企業、約100社を紹介しています。「輝く!経営者キャンペーン」は2003年から05年にかけての2年間でしたから、今回本にまとめるにあたり、加筆修正させていただいています。経営者の紹介だけでなく、従業員の声や、取引先、消費者の声なども紹介させていただきました。 |
| 武田 |
企業を経営している人はもちろんですが、地域の人にとっても、こういう企業が元気にがんばっていることを知ることができますね。 |
| 竹村 |
そうです。数字に表れる部分以外の元気の秘密もわかる内容だと思います。 |
| 武田 |
成功する産業像という視点で見ると、どんなことを感じましたか。 |
| 三井 |
高い技術を持っていること、従業員を大切にしている企業が多かった印象があります。社長の魅力に従業員がついていく―という姿を感じました。製品の新しい展開にしても、技術にしても、従業員が提言できる雰囲気があると思いました。 |
| 南 |
一つには、経営者がきちんと方向軸を持っていることですね。そして、その方向を実践するための手段、例えば加工技術などを持っていること。その両軸を持って、経営者が引っ張っていくという姿勢が共通しているところだと思います。 |
| 武田 |
今、社会が複雑化していて、その方向軸を決める、ということが難しい時代―。 |
| 南 |
難しいと思いますね。ですが、「輝く!経営者」の皆さんは、自分が持っている技術や、社会のニーズをきちんと把握して、長期的な視野を持っていると思います。 |
| 武田 |
伊那谷に本社はあっても、常にアンテナは高くして、情報収集していくことも大切ですね。 |
| 竹村 |
方向軸がしっかりしていることの大切さは感じます。それと、アンテナを高くすることでいえば、紹介した中には、海外に目を向けた中小企業もたくさんありました。そうしたいろんな要素が重なって、「輝いている」と感じました。 |
| 武田 |
今、実際に「輝いている」姿を、取材させていただいたわけですが、輝く前にその方向軸を決めてきたわけですから、それを見定めてきた経営者の手腕はまさに「輝いている」と思いますね。 |
| 竹村 |
そうですね。そうした紆余曲折もヒントも、本の中でたっぷり紹介しています。 |
| 武田 |
2年間のキャンペーンを通じて、経営者にとって必要なものは、どんなことだと感じましたか。 |
| 三井 |
経営理念をきちんと持っていて、商品の展開の方向性をきちんと持っているということだと思います。 |
| 南 |
高いアンテナが必要ですから、経営者自身が情報を集める、勉強する、ということが当然必要だと感じますね。 |
| 竹村 |
企業の連携もこれからは必要になってくると思います。異業種で情報交換しながら、互いに元気になろうと努力している経営者の皆さんもいますから、忙しい中でも、そうしたあらゆる情報を集めるための努力というのは、ますます重要になってくると思います。 |
| 武田 |
私自身、取材を通じて、経営者の人間的な魅力―というのも感じました。 |
| 三井 |
従業員にとっては、それが一番かもしれませんね。大企業と中小企業の経営者を比べてみますと、中小企業の場合は従業員が経営者のすべてを知り尽くしている―という印象です。考えている方向もよくわかっている。経営者が「これでもか、これでもか」と学んでいく姿を、従業員が見て学んでいく、ということ。従業員の先頭に立っている―という姿が見えますね。大企業になると、なかなか直接接触する機会がありませんから、そうしたコミュニケーションは難しいのかもしれません。 |
| 南 |
この本のタイトルに「挑戦」とありますが、製造業でよく「難しいものほどやりがいがある」という言い方をされます。まさにチャレンジャー、職人気質を感じますね。やはり、そういう経営者を見れば、従業員もやる気になるでしょう。人材というのは、企業にとって大事な宝ですから、従業員の先頭に経営者が立つ―という姿勢は、とても重要なことですね。 |
| 竹村 |
「輝く!経営者」の皆さんに共通する魅力は、技術力と、その技術力を駆使していること。その技術力は、信州の伝統的なものづくりを基礎にしています。そしてアイデア。そうした伝統的な技術力と斬新なアイデアに共鳴して従業員がついてきている―と感じます。 |
| 武田 |
経営者はもちろんですが、従業員も難しいことに挑戦する雰囲気が大切でしょうね。 |
| 南 |
そうですね。中小企業だからこそ、そうした雰囲気ができるのかもしれませんね。大企業のように分業してしまうと、そういう雰囲気が起こりにくいのかもしれません。その中小という良さをいかす―ということだと思います。 |
| 三井 |
本に紹介された元気な企業を見ていると、従業員もよく勉強している、という印象がありますね。経営者が言うことを実現する前向きな姿勢だと思います。 |
| 武田 |
これからの上伊那の産業が進むべき方向性は。 |
| 三井 |
この地域にあった精密工業を中心に展開していくこと。もう一つは食品関係ですね。この地域の食材も利用しながら展開できると思います。それから、上伊那には長い間培ってきた老舗も多くあります。その老舗では、ここ数年ちゃんと次の世代にバトンタッチしていますから、それも地域の大きな力になっていくと思います。 |
| 南 |
21世紀、一番重要な問題とされているのは、食と環境。信州大学農学部では、食と緑ということで、その両方にかかわる研究をしています。上伊那では、製造業も盛んですが、食品産業も非常に多い地域です。付加価値の高い食品、機能性の高い食品を、大学とも連携しながら開発していくこと。しかも、その食品は出所が確かであること。そういう点が、これから大切だと思っています。 |
| 竹村 |
環境と健康はこれから大事なキーワードになってくると感じますね。また、技術はもともとしっかりしたものがありますから、それを伝承していくことだと思います。そして、桑の葉を使ったお茶や、信州の木を使った家づくりなど、信州の良さ、上伊那の良さをいかした産業も、これからさらに、たのもしい存在になっていくと思います。 |
| 武田 |
日本全体で言うと、2007年以降、団塊の世代が定年を迎えて、大切な技術をどうやって伝承していくか、いわゆる「2007年問題」とも言われる課題があります。その点はどうでしょうか。 |
| 竹村 |
定年を迎えても、その技術を若い世代に伝承してほしい―と大切にしている企業もたくさんあります。中小企業だからこそ重要なことかもしれません。 |
| 武田 |
その技術を受け取る側、地元の若い人にも、こうした企業が地元にあることを、もっと知ってほしいですね。 |
| 三井 |
大事なのは学校の先生が、地元の企業をよく知ることですね。大企業だけでなく、中小企業の中にも、自分の力を発揮できる場があることを、先生方にも学んでほしいと思います。 |
| 南 |
この本で紹介している企業の中には、すでに信州大学と連携している企業もあります。大学も、産学連携の体制をしっかり作っていますから、もっと利用してほしいと思います。 |