| 武田 |
この西箕輪地区は、野鳥の宝庫でもありますね。動物や鳥がたくさん生息しているということは、土地もいい―ということ。 |
| 白鳥 |
そうですね。まずは昆虫類が多い。エサがあるから集まってくるということでしょう。こういう場所は、人間が住んでもいいところだと思います。ここでは除草剤を使いません。草も生えない場所では昆虫も住めませんから―。 |
| 武田 |
でも、店で買う場合は、店頭で虫がいると大変です…。 |
| 白鳥 |
そうですね。例えばこの野菜は、虫が食べるようないい野菜だ―という理由を説明できないことが多い。そういう食育ができる人づくりがまだされていない、ということもあるでしょう。 |
| 武田 |
それから、形や色、大きさ。そういうものにこだわりがちでしたが、最近になって、安全性などに関心が向けられるようになったように思います。 |
| 白鳥 |
ミネラルの重要性や農薬の毒性に関心が向けられるようになって、ガイドラインができてから、ようやく認識度が高まってきたと感じます。 |
| 武田 |
肥料についてはどんな考えですか。 |
| 白鳥 |
昔の農法では、どこの農家でも鶏や牛、馬などがいましたね。そして、田の草や土手の草、山の柴などを糞と一緒に積んで堆肥づくりをしました。さらに人糞も使って畑に還元しましたね。それから時代が変わって化学肥料を使うようになりました。化学肥料は、もとをたどれば化学兵器の開発から始まったものでした。それから、最近、栄養学の世界でバランスということをよく言うようになりました。人間の体の栄養バランス。それは植物でも全く人間と同じで、土の中の土壌菌のバランス、栄養のバランスというのが、非常に大事だと思います。そのバランスが崩れてくるので、木が弱くなり、免疫力が低下してしまうんですね。健全な植物体だったら、少しぐらいの雑菌には負けないはずですが、人間と同じで、非常に弱体化してしまっています。そういう点で、栄養のバランスを考えることが一番大事だと思いますね。 |
| 武田 |
肥料というのも植物にとっては、私たち人間が食べる食物と同じように考えないといけない―ということですね。 |
| 白鳥 |
そうです。植物細胞というのは、最低でも45元素必要と言われています。私たちの動物体は48元素ぐらいですね。細胞の構成というのは、植物も動物も、ほとんど変わらないと言ってもいいと思います。 |
| 武田 |
白鳥さんが使っている肥料には、貝など海のものを含めてたくさんのものが含まれていますね。 |
| 白鳥 |
13種類の生物体を入れて、酵素や酵母も加えて、22種類です。植物はリンゴであろうと稲であろうと、トマトでもキュウリでも同じなんです。私たちが食べるということを忘れてはいけませんね。我々はその植物体の生命をいただいて生かされているという原点を忘れないようにしないと。 |
| 武田 |
カナダの森林地帯では、そこに流れる川にサケが遡上してきて、そこでサケが死んで、それをクマが食べ、糞として森に還元される。そうすると、森林にとって、とてもいい栄養になると聞きました。 |
| 白鳥 |
そのとおりですね。雨の多い日本では、ミネラルが流れていってしまいます。従って、海の中にはすべてのミネラルが蓄積されている。それをまた持ちかえって、土に還してやることが大事なんですね。特に長野県のように潮風が入らない場所では、ミネラルのバランスが崩れやすいですから、補給が大事になってきます。最近では、アトピーなどで苦しんでいる人も多くなってきて、白鳥農園では、そういう方にも買っていただいていますが、特別に高い価格にはしていません。安全な機能性の高いものを提供するのは当たり前のこと、義務だと思っていますから、買った方が健康になっていただければ―と。 |
| 武田 |
機能性のあるものを食べて健康を維持する。多少高くても、健康になることで医療費がかからなければ、そのほうがいいですね。 |
| 白鳥 |
満たされた栄養があるもの、機能性があるものを食べて、免疫を高めていくためにも、本物を知ってほしいと思います。すべてそれにこだわるというのは大変ですから、例えば5品おかずを作るとしたら、1品は本物のものにしてほしい。本物を一つ添えることによって、解毒作用もうまれますから―。そのためには、いかに健康な植物、ストレスのない植物を育てるか、ということが大事なんですね。 |
| 武田 |
私自身が小さなころに食べていた野菜と、今の野菜は、味も匂いも変わってきているように感じますが―。 |
| 白鳥 |
そうですね。植物に与える肥料の変化による影響が大きいでしょうね。肥料では、トマトのビタミンCは作れませんから。 |
| 武田 |
最近は、機能性の高い野菜が少なくなっている―。 |
| 白鳥 |
教育の貧困からきている点もあると思います。スウエーデンやドイツなどでは、幼稚園のころから土をさわらせています。日本の場合は、無菌がきれいなもの、菌があるものは不潔…という言われ方をすることもありますね。しかし、地球というのは菌で構成されているといっても言い過ぎではありません。私たちの肉体にも、菌がたくさんいて作用してくれていますね。最近では、肉体に住む菌が昔の数百分の一になってしまった―とも言われます。 |
| 武田 |
それだけ弱くなってしまったということ。 |
| 白鳥 |
そうですね。医学でも栄養学でも、こういう点を、もっと大切に伝えていかなければいけないと感じますね。自分たちが、将来の子どもたちをどう作っていくか。その義務をもっと大切にしていかないと―。 |
| 武田 |
日本の伝統食は機能性が高いと言われます。例えば、どんなものが。 |
| 白鳥 |
筆頭に上げたいのは漬物ですね。例えば、発酵を上手にさせたタクワン。その完熟した糠というのは、最高ですね。 |
| 武田 |
そこには、たくさんの微生物が含まれている―ということですね。 |
| 白鳥 |
そうですね。長野県は特に野沢菜が知られていますが、これも機能性が高い野菜です。地元では、おばあちゃんが、たくさんおいしい漬物を作っていますね。この漬物をぜひ教わって、作って欲しいと思いますね。 |