| 武田 |
農業を始めて28年になるそうですが、そのころから無農薬有機栽培にこだわっていたそうですね。 |
| 白鳥 |
若いころ都会に暮らしていましたが、とにかく農産物がおいしくないと感じていました。子どものころに食べていた農産物とこんなにも違うのかと。仕事で動物に関係していたので、微生物などにも関心があって、栄養価や機能性がある農産物を作りたい―ということで始めた農業です。 |
| 武田 |
除草剤を使わない農業―。 |
| 白鳥 |
農業というより百姓という考え方です。畑というのは、母なる大地。生み出す源が大地です。その大地、地球は菌に覆われていますから、土の中にも土壌菌や土壌昆虫類がたくさんいます。そういうものを大切にしていきたいと。ですから、除草剤や化学肥料など、自然界にないものは極力避けて―。 |
| 武田 |
この西箕輪地区の気象の特徴は。 |
| 白鳥 |
標高が高いということもありますが、寒暖の差が年間平均10度あります。この2、3年の観察では、寒暖の差が14〜15度ありますね。 |
| 武田 |
そのほうがリンゴにとっては、いいということですか。 |
| 白鳥 |
そのほうが生命体は強くなります。特にリンゴの場合、ゼラチンが重要視されますが、醸成された質のいいタンパク質ができます。 |
| 武田 |
果物にしても野菜にしても、自然に対抗しようとしますから、人間に言いかえれば、鍛えられて強くなっていく―ということですね。 |
| 白鳥 |
そういうことですね。生命を維持する、子孫を残していくために強くなっていくんですね。 |
| 武田 |
日照時間や雨量については。 |
| 白鳥 |
雨量は、この地域は比較的少ないです。日照時間は、日本でも有数な長いところだと言われていますね。朝陽は早く当たりますが、西陽は山に遮られますから、紫外線を防ぐことができる。リンゴの場合は、西陽を浴びたほうが色づきがいいですが、中のゼラチン質にとっては紫外線が当たらないほうがいいですね。機能性ということになってくると、今問題になっている温暖化は、果樹農家にとっては大変なことです。 |
| 武田 |
機能性について感じていることは。 |
| 白鳥 |
栄養価がない見た目だけのものが多いですね。農薬はこの数年、ようやく問題にされるようになってきましたが、あとは栄養価の問題だと思っています。60兆個とも言われる私たちの中にある細胞は、毎日新陳代謝しているわけですね。新しく生まれてくる細胞のエネルギーを、どんな形で得ていくかということが、これから問われると思います。医療費の問題にもかかわってきますね。 |
| 武田 |
見た目ではなく質―。白鳥農園では加工用によく使われる紅玉というリンゴも、たくさん栽培していますね。 |
| 白鳥 |
この紅玉は、特にペクチンがたくさん含まれています。これには、免疫力を強める働きがあります。さらにペクチンの質も問われますね。一般需要としては、ほかの種類のほうが好まれていますが、特に機能性を重視することになると、やはり紅玉系のリンゴが重要だと―。 |
| 武田 |
これから、だんだん見直されていく可能性がありますね。 |
| 白鳥 |
そうですね。紅玉には、酵素も多いです。酵素が多いリンゴほど早くやわらかくなってしまいますが、機能性という点では、紅玉はいいリンゴだと思いますね。こういうことを、教育の一環で子どもたちに教えて欲しいですね。例えば、スェーデンなどでは、小さな子どもたちに食物の機能性の話をしています。日本でもぜひ取り組んでほしいと思います。 |
| 武田 |
食育、というのは最近ようやく言われ始めたところです。今までは、ほとんど取り組まれていませんでしたから―。 |
| 白鳥 |
そうですね。これからお母さんになる人たちにも、ぜひそういう認識を持っていただきたいと願っていますね。 |
| 武田 |
除草剤を撒いていない白鳥農園には、たくさんの微生物が住んでいますね。 |
| 白鳥 |
この大地は、特にマグネシウムが多く、土壌菌が比較的少ないので、いかにいい有機質を入れて土壌菌を増やすか―ということで取り組んでいます。除草剤を使っていないこの大地では、1cの土で5億〜6億ぐらいの土壌菌がいると考えています。これが除草剤を10年ぐらい使った場合、おそらくその10分の1もいないかもしれませんね。土の中の土壌微生物はもちろん、昆虫類も激減してしまいますから―。ここでは、除草剤は一度も使っていません。 |
| 武田 |
草との戦いという面もありますね。 |
| 白鳥 |
それは大変ですが、草の中にはいろんな昆虫がいます。リンゴを食べる虫もいますが、その虫を食べる虫もいる。共存共栄がおこなわれているんですね。百姓というのは、母なる大地から植物体を産む、育てる―ということ。機能性を大事にします。農業になると、いかに生産性を上げていくかということも大事になりますが―。 |
| 武田 |
白鳥さんのものは、形や色など規格から外れてしまうものが多く、通常の販売ルートでは、なかなか大変だそうですね。 |
| 白鳥 |
ほとんどが外れてしまいますから。でも最近は直売などの販売ルートもできて、わかっていただけるようになってきました。 |