2006年5月13日放送 

伊那市地蜂愛好会会長 小木曽大吉さん

地蜂と夢を追い続けて

伊那市地蜂愛好会発足から10年

新緑がまぶしいこの季節、昨年秋から越冬してきた地蜂の女王蜂たちは、そろそろ目を覚まして新しい巣づくりの準備に取りかかる。地蜂、といえば、伊那谷では昔から「すがれ」とも呼ばれ、野山を駆けるすがれ追いの楽しさ、蜂の子の収穫―と、親しまれている存在だ。
発足から10年目を迎えた伊那市地蜂愛好会(小木曽大吉会長・会員約100人)は、地蜂の飼育や蜂追いなどの情報交換を重ね、最近では、地蜂の保護、増殖に寄与しようと、自分たちで女王蜂を越冬させ、野に放つ活動を展開している。今年も、1万匹以上の女王蜂の越冬に成功し、4月23日にあった総会で会員に配布された。
伊那谷の豊かな自然が育む地蜂たち、そして、その恵みに感謝しながら、毎年楽しんでいる地蜂愛好会の会員たち。この伊那谷の自然がつなぐ楽しい交流は、今年も始まった。
今回のいなまいニューススタジオは、伊那市地蜂愛好会の小木曽会長をゲストに迎え、女王蜂の越冬や、地蜂の魅力などについて聞いた。

地蜂の一年
武田 地蜂愛好会の会員の皆さんが持ちかえった女王蜂は、放されて、その後どんなふうになっていくんですか…。
小木曽 女王蜂は、モグラの古巣のような穴などを利用して、小さな部屋が7つほどあるようなピンポン玉ぐらいの大きさの巣を作っていきます。そこまでは、女王蜂一匹の作業です。それから、女王蜂が産んでいって、最初の働き蜂が3、4匹になり、7匹になり、11匹ぐらいになっていきます。そのころから、女王蜂は表へ出なくなります。羽と体のバランスが取れなくなって、飛べなくなってしまうんですね。働き蜂は、水とエサを運んで、巣を大きくしていって、8月ころになると、巣の大きさは直径15aぐらい、巣の中は5段ぐらいになっていきます。一家の繁栄のためにがんばり続けるんですね。そして、秋になって、巣の重さは2〜3`になって、そのころ、オスの段を2段ほど、その下に女王蜂の段を4段ほど作ります。すると、先にオス蜂が外に出て、1週間から10日ほど後に女王蜂が産まれてきます。そして、西日が当たるような日溜りのような場所、例えば夏にアブラムシが活躍したような場所でオス蜂が待っていて、そこへ女王蜂がやってきて交尾します。立派な遺伝子を持ったオス蜂を女王蜂が選んでいくんですね。
武田 それから越冬ということに―。
小木曽 交尾が終わると、女王蜂はエビのように体を曲げて、オスの体を強く噛みます。すると、そのショックでオス蜂が離れて、女王蜂はそれぞれ冬越しをする場所へ飛んでいきます。
武田 その冬越しの場所を、愛好会で取り込みハウスに用意して集めた、ということですね。
小木曽 そうです。そして、越冬した女王蜂が翌年の5月に新しい巣を作っていくんですね。

冷蔵庫で越冬した女王蜂。木の葉の上で眠っている


伊那谷の自然の中で
武田 今回、会員の皆さんに配って、それぞれ放した女王蜂は無事に巣を作ってくれるといいですね。
小木曽 自然の中にはいろんな天敵がいます。例えばクモ。クモは冬場に地上からあまり見えなくなりますが、地中にもぐり、越冬している女王蜂の体のエキスを吸ってしまう。それで、100匹のうち90匹はクモにやられてしまう、とも言われます。ですから、こうして冷蔵庫で保管しながら、越冬させて、越冬の確率を上げてやろう、というわけです。
武田 冷蔵庫での越冬は何年目ですか。
小木曽 まだ3年目。まだまだ勉強中ですが、もっといい答えが出るように研究を重ねて、もっと元気な女王蜂を会員の皆さんに配りたいと考えています。
武田 小木曽さんは、地蜂のほかに、狩猟や釣りもするそうですが、この自然豊かな信州で、遊ぶことはたくさんありますね。せっかく恵まれた自然に囲まれていますから、楽しまないと―。
小木曽 ここに生まれて本当によかったと思いますね。生きているものを相手にして生活する楽しさ、おもしろさですね。例えばサラリーマンというと、あの紙幣を得るために働きますね。私の場合は、野山へ獲物を取りに行く―。これは楽しいです。

昨年秋から、地蜂愛好会の取り込みハウスで越冬させた女王蜂を、冷蔵庫に移し、段ボール箱に入れて保管。冷蔵庫内は、自然界と異なり、箱を置いた場所によって温度や湿度が微妙に違ってくるため、小木曽さんらは霧吹きで湿度を上げたり、箱を置く場所を変えたりと、冬の間、こまめに管理を続けてきた

女王蜂は、4月23日の地蜂愛好会の総会で会員に100匹余ずつ分けられた
会員は、暖かい日を選んで、それぞれ近くの山や普段蜂追いに行く場所などで女王蜂を放し、地蜂の巣が大きくなる秋を待つ



取り込みハウス内に、昨年秋、採取してきた地蜂の巣を移動。晩秋になると、女王蜂たちは、交尾後、越冬のために巣から出て、越冬場所を探す
女王蜂が越冬場所として好む環境を作るため、小屋の中に細い筒を置くと、女王蜂がもぐり込むため、夜、女王蜂が静かになった時に小木曽さんらが筒から女王蜂を出し、一匹ずつ捕獲して箱に入れ、冷蔵庫で越冬させた。自然界では、女王蜂は木の割れ目や落ち葉の下など、どこかにもぐっているため、その習性を利用した方法


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