| 武田 |
自然の光沢がありますね。 |
| 小林 |
木の繊維を壊さずに、削らずに手で割ってありますから、自然の艶が出ます。これがへぎ板の特徴です。厚さ1_以下まで薄くしていきます。天然木で数百年のもの、目がつまったものでないと、へぎ板になりません。 |
| 武田 |
薄くすればするほど艶が出てくる―。 |
| 小林 |
薄くしていくと、木の中の年輪が浮いてくる。それが美しいんですね。へぎ板というのは、だいたい板目(年輪に沿うように切り出した板の表面に現れる木目)に割って、年輪の美しさを見ていただく―というもの。そこに自然な〈へぎ肌〉が現れます。私自身は、木というのは板目の方が表情がある、と感じますね。 |
| 武田 |
木曽谷にはかつては、へぎ板職人はたくさんいましたか。 |
| 小林 |
昭和のはじめころまでは10数人いました。へぎ板の仕事は、木曽の山から木をいかだで運び出していたころに盛んでした。いかだで大阪や名古屋に木を運び、そこにある木材問屋などが、へぎ板職人を抱えて、へぎ板に加工して、出していたんですね。ですから、当時は、そういうところに職人が集まっていました。私自身、父は中津川出身で、大阪で修行をして―。でも、運送方法が変わってきて、大阪で材料の木が手に入りにくくなってきて、材料の木を求めて木曽へやってきた―というわけです。私がこの仕事をはじめた38年前には、まだまだ素晴らしい木がたくさんありました―。 |