| 武田 |
小松さんは蜜ろうで置物なども作っているそうですが、蜜ろうとは、どんなものですか。 |
| 小松 |
ミツバチの巣は、ほとんど蜜ろうでできています。他のハチは、木の皮を持ってきて唾液で練って巣を作ったりしますが、蜜ろうを自分で出して、巣を作るわけですね。 |
| 武田 |
春先は、渥美半島でミツバチを飼っているそうですが。 |
| 小松 |
渥美半島では1月から4月初旬まで、桜や、キャベツの花からミツバチが集めてくれる蜜をいただいて―。長野県は山国で、ハチを飼うには最高の条件があります。今はレンゲの花がほとんどなくなってしまいましたから、アカシア、トチ、クリ、ソバの花などからいただいていますね。 |
| 武田 |
ハチ蜜は、健康にもいいし、人間の役に立っていますが、同じ昆虫でも、害虫と益虫と言われるものがあります。人間が勝手につけた言い方ではありますが、農業に昆虫を利用しようという動きもあるそうですね。 |
| 森本 |
害虫は作物を食べますね。益虫にはハチのように受粉してくれるもの、害虫をやっつける天敵もいる。それはすべて農業に役立つわけです。害虫をやっつける天敵は、農薬を少なくするところで使えますし―。私自身は、そうした研究を長年してきたわけですが、最近になってようやく、そこに関心が寄せられるようになりました。昔は「そんなことをしても…」という人が多かったですが、今は長野県も、環境保全型農業と言って、少しでも農薬を減らしていこうと、いろんな防除法を取り入れ始めましたね。農薬というのは、数を減らすのではなく、全滅を目標としているわけです。ところが、いくらやっても全滅にはならない。それならば、数を少なくするにはどうすればいいか…。そこに、いろんな方法があるわけです。 |
| 武田 |
例えば、昆虫は、どんなところに使われていますか。 |
| 森本 |
イチゴの害虫のためにハチが使われたり、果樹の害虫のために使われたり、たくさんあります。例えば、ハチにもいろいろあって、害虫の体の中に入っていって害虫の体を食べて退治するもの、害虫の外側に寄生するもの、アシナガバチのように、巣に虫を運んで食べるものもありますね。 |
| 武田 |
それを人間が利用させていただいて農薬を減らそうと―。 |
| 森本 |
そうです。それから、このあたりではハチの子を食べますね。そういう意味では益虫と言えます。農業だけでなく、人間生活に深くかかわりがあるのが昆虫なんですね。 |
| 武田 |
森本さんが昆虫の研究を始めたきっかけは。 |
| 森本 |
小さいころから虫は好きでしたが、昆虫学者になろうという気持ちはありませんでした。ところが、出会いがありまして―。ある集中講義で昆虫の話を聞いて、それが面白かったんですね。それで「昆虫を研究してみよう。不思議なことがたくさんある」と。 |
| 武田 |
森本さんは特にチョウに興味を持ったそうですが、きっかけは。 |
| 森本 |
旧制中学時代、生物の成績が良くなかったんです。それで、生物の先生にいい点をもらおうと、その先生に「昆虫が好きです」と言ったんですね。すると「よし、採集に行こう」ということになって―。ところが行ってみると、虫の名前を知りません…。先生は、昆虫が好きだというのも嘘だろうと思ったでしょうが、「こいつを昆虫好きにしてやろう」と思ってくださったんでしょう。昆虫について教えてくれたんです。いろんな虫を教えてもらいました。教えてもらうだけではだめで「飼育してみろ」と、飼育も始めまして。虫を飼い始めると、エサになる植物も覚えました。そうして、だんだん好きになって、本当に好きになってしまいました。 |
| 武田 |
最初に飼ったのは…。 |
| 森本 |
モンシロチョウでした。これは、小学生、保育園児でも飼育できます。一番身近にあって、春、早く出てくるモンシロチョウ。親しみがありますからね。キャベツの葉裏などにある卵を採ってきて飼育するわけですが、さぼっていると大きくなりませんし、成長しても小さなチョウになります。そういうことがわかってきますから、一生懸命飼います。アゲハチョウもそうです。エサは大変ですが、きれいなチョウになると思うと、一生懸命になりますね。 |
| 武田 |
小松さんは、どうしてミツバチを飼うように―。 |
| 小松 |
昔、「シベリア物語」という映画がありました。ハチは出てきませんでしたが、きれいな青空が出てきた。それを見ているうちに、山へ行こうか、と思ったりしていた時、ちょうど蜜の値段が上がって、始めたというわけで―。 |
| 武田 |
森本さんは、去年、「子ども自然教室」を始めたそうですが。 |
| 森本 |
小学校1年、2年、3年を対象にして、自然の不思議さ、面白さを教えるために昆虫を自分で採る。そして、どんな花に虫が来ているか、何を食べているかを、自分の目で見て、触ってみて、感じることが大事。そのもとを作っているわけですね。ですから、昆虫が好きでもいいし、植物が好きでもいい。とにかく自然が好きになってほしいんです。そういうことを、保護者も一緒になってやってほしい。そうすると、子どもたちは外へ出るようになりますね。実際やっていると、教室の時間が終わっても、子どもたちは帰りません―。 |
| 武田 |
熱中してしまうんですね。 |
| 森本 |
これを大事にしたいと思いますね。今は、茅野や松本、諏訪などからもやってきています。今年は5月に始めますが、モンシロチョウの飼育もしようと考えています。モンシロチョウも、こんなに面白いか、とまず知ってほしい。そして、ほかの虫や植物もやっていきます。 |
| 武田 |
去年は何人ぐらい参加を。 |
| 森本 |
多い時は100人ぐらい集まりましたね。去年は7回開催しましたが、今年はもっと回数を増やす予定です。毎年、続けていきたいですね。 |