| 武田 |
馬の油というのは、昔から「がまの油」と呼ばれて使われていたものだそうですね。 |
| 舘内 |
文献で調べてみると、300年以上前から使われていた歴史がありますね。馬のたてがみの下の部分にある油で、1頭から多くて5`、平均3`ぐらいしか採れません。馬の油は、昔から、やけどや切り傷、皮膚損傷に役立つと言われて、民間療法で重宝されていたものです。 |
| 武田 |
アトピー性皮膚炎にも。 |
| 舘内 |
そうです。最近では、会社の開発の目的もアレルギーで皮膚が弱い人に役立てるようなものということで、近代的技術を応用して作っています。ただ、馬の油が全部役立つというのではなく、どんな原料をどのようにして作ったかというのが役立つ秘訣です。 |
| 武田 |
どうして馬の油にそんな効果が。 |
| 舘内 |
α―リノレン酸という成分が皮下組織に浸透して皮膚の新陳代謝を活発にする。そして、新しい皮膚を作って持ち上げてくる、という効果です。浸透していく油、という部分が、α―リノレン酸ですね。これが非常に役立つということです。 |
| 武田 |
その成分が少ないと、効き目がないということ―。 |
| 舘内 |
そうです。動物性の油でしたら、牛にも豚にもありますが、α―リノレン酸という成分が多いか少ないか。馬の油には圧倒的に多いです。 |
| 武田 |
同じ馬でも、含有量が多い馬と、そうでない馬がいるそうですが…。 |
| 舘内 |
伊那地方では馬刺しを食べますが、おいしい馬刺しが取れる馬の油では、α―リノレン酸という成分は非常に少ないです。馬本来の牧草肥育ではなく、穀物肥育になりますから、脂肪酸のバランスが崩れてしまいます。そのバランスが崩れた原料では、どんな作り方をしてもだめですね。うちでは、南アメリカの完全放牧で育っている馬から原料をとっています。 |
| 武田 |
現状では、完全放牧の馬は少ないでしょうから、大変なのでは―。 |
| 舘内 |
放牧というより、半分野生です。そのぐらいの馬の原料の方が役立ちます。 |
| 武田 |
同じ馬の油でも、産地によって製品の質が全く違うということ。これは大事なことですね。 |
| 舘内 |
そうですね。特に馬の油の場合は、技術の前に原料の選び方。これが90%作用します。 |
| 武田 |
中国桂林地方で採れる羅漢果。これも原料にされているそうですね。 |
| 舘内 |
羅漢果は、世界では桂林地方が最も栽培に適していると言われています。桂林地区が委託された農家だけが栽培しています。一切化学肥料をやらず、消毒もしないという土地で作られているものですね。この羅漢果の効果は、活性酸素を取り除くというものです。 |
| 武田 |
今の生活では、ストレスがたまったり、生活習慣病があったり、活性酸素が多いですね。それを取り除いてくれる―。 |
| 舘内 |
そうです。それを取り除くためには、羅漢果を乾燥させたものを煎じるということが大切です。煎じるという技術が、我々の中にあった、ということですね。 |
| 武田 |
創業から16年目になるそうですが、そのころのことを修一さんは、どんなふうに記憶していますか。 |
| 舘内(修) |
本当にいいものを作りたい、という熱意が家族にも伝わってきたので、これだったら賛同していいんじゃないかと―。 |
| 舘内 |
その話(起業)を朝、家内に話しましたら「自分の人生だから、好きなように生きたら」と。すると息子も娘も「応援する」と。その間、10秒かからなかったような気がしますね、今でも。突然話したのに、突然返事が返ってきた。家族が応援してくれる。それが自信でしたね。 |
| 武田 |
製品について親子でコミュニケーションは。 |
| 舘内(修) |
私は現場で、社長は営業や講演会に歩いています。いいものを作ろうという意見は一致していますので、それに向かって日々仕事をしています。 |
| 武田 |
製品が売れてくると、大量生産も考えたくなりますが、そういう考えはないそうですね。 |
| 舘内(修) |
大量生産する場合は、品質面に不安定さが出てしまいます。いいものを作ろうとすると、今の我々の方法は、大量生産には向かないと思いますね。この品質は、ずっと何十年後も維持しよう、という考えを持っていますから。 |
| 武田 |
経営者の中には「評判が良くて、売れる」商品があれば、人を増やし、工場を大きくする、という考え方の人もいると思いますが―。 |
| 舘内 |
一般的にはそうでしょうが、我々が作っている「役立つもの」は、できるだけ新鮮なもの、いいもの、作りたて。それが「役立つもの」です。ですから、それは何を作っているか、によるでしょうね。大量生産できて、何年でも腐らないものとは違いますから―。ですから、この品質を守るためには、最初から大量生産は考えていません。 |
| 武田 |
品質に対しては、常に最高の気を使っているということですね。 |
| 舘内 |
そうですね。それともう一つは、製造責任ということ。品質に対して責任を持つということで、オーナー製造といって、私か息子がいない時には絶対に製造・抽出はしないと決めています。すると、それができる範囲内は限られてきます。それでいいと思っています。売ろう、ではなく、役立つものを送り出したい、と思って作っていますから。 |
| 武田 |
社員の皆さんも同じ考え方で。 |
| 舘内(修) |
営業マンをはじめ、全員がお客様に心をこめて届けよう、という気持ちで作っています。 |
| 武田 |
営業部長は九州福岡に住んでいるそうですが。 |
| 舘内 |
そうです。我々が世に送り出すものは、人に役立つものです。役立つということは、役立った人が幸せになるということですね。送り届ける人が不幸だったら役立たないということで―。営業部長は九州出身だったので、親元にいて家族が幸せにいる環境で仕事をしてもらいたかったんです。メールも電話もありますから、何の不自由もありません。 |
| 武田 |
従業員を信じきっているという感じですね。 |
| 舘内 |
そうですね。私自身の自慢は、創業以来16年間、従業員に「一生懸命働いてください」「がんばって働いてください」と一度も言ったことがないことです。怒ったこともありません。 |
| 武田 |
従業員の皆さんも、それだけ信頼されているんだ、と感じ取って―。 |
| 舘内(修) |
はい、それは皆にも伝わっていると思います。 |
| 武田 |
商品を使ってくださる皆さんも幸せに、商品を作る人たちも幸せにしたい、ということですね。 |
| 舘内 |
従業員の犠牲の上に、酷使した上に成り立っているいる商品を売って利益を上げようとは思っていません。いつも従業員には「仲良くしてください」という以外には何も言いませんから―。 |
| 武田 |
修一さんも、お父さんの経営哲学と同じ思いで経営していきたいと。 |
| 舘内(修) |
商品、品質もそうですが、この気持ちは、ずっと守っていきたいと思っています。 |
| 舘内 |
商品の中身やデータだけでなく、どんな気持ちで作っているか、それがわかっていただけたら、と思っています。 |