2004年12月25日放送 

竹村浩一編集長 毛賀沢明宏記者

2004年総集編 重大ニュースで振り返るこの一年

2004年を振り返る 地域の未来のためにできること

今年もあと1週間となった。毎年発表される「今年の一字」に『災』が選ばれ、伊那谷でも台風直撃による災害、新潟中越地震を契機にした地震、防災への再認識など、『災』にまつわる出来事が相次いだ。さらに猛暑、暖冬という異常気象も、『災』につながるだろう。
今回のいなまいニューススタジオは、伊那毎日新聞の竹村浩一編集長、毛賀沢明宏記者とともに、2004年の重大ニュースを振り返る。一年をたどりながら、明るい新年への掛け橋としたい。
写真:左から武田キャスター、竹村浩一編集長、毛賀沢明宏記者

毛賀沢記者が選ぶ04年重大ニュース
毛賀沢 台風23号の伊那谷直撃が一番大きかったですね。テレビ報道では、飯田線の転覆が大きく取り上げられましたが、伊那市内では八幡町の冠水、小黒川・小沢川の堤防決壊など、大きな災害の傷跡がありました。36災害以来の災害だと話す人もいました。2番目には、農と食。伊那谷にはさまざまな斬新な試みをしている人がたくさんいますが、その方々に注目が集まってきた、というのが特筆すべきことだと思います。県の原産地呼称管理制度の認定米に選ばれた伊那有機栽培研究会は、ずっと前から、おいしいコシヒカリを有機栽培していましたが、今回、県がこの制度をつくったことで注目を集めることになりました。伊那毎日新聞紙上で紹介する前は、小売店には置いてありませんでしたが、掲載直後から伊那市の産直市場グリーンファームに置いていただけることになりました。お米だけではなくて、マツタケオーナー制、りんごオーナー制など、地産地消というのが一つのキー概念になって、あらためてこうした試みに注目が集まったのでは、と思います。
武田 伊那谷というのは、とても豊かに、いろんなものができる土地柄ですよね。
毛賀沢 そうですね。米、果樹、花、野菜など…。実り豊かな谷だなぁ、とあらためて思いました。
武田 足元を見直す大きなきっかけになりますね。
毛賀沢 3番目には、電子・自動車関連製造業好調、をあげました。今年は、景気が良くなると言われていましたが、上伊那ではまだなかなか…と「輝く!経営者キャンペーン」で取材した経営者の皆さんも言っていました。でも、やはりデジタル電子関連と自動車関連の下請けが多いですから、これが上伊那全体の前半の景気を牽引したという傾向があったんだと思います。中には繁盛された会社もあったようですね。
武田 番組で取材した経営者の皆さんも、とても工夫しているな―という印象でした。
毛賀沢 4番目には、ごみ処理場建設用地の選定についてです。選定についてはまだ難航しています。ただ、上伊那全体のごみをどう処理するか、という問題ですから、どういう計画を立て、どのぐらいのごみを抑制していくのか、という問題をもう一度大きな視点に立って議論していく必要があるのでは、と思っています。
武田 モデル地区になるような解決ができるといいですね。
毛賀沢 施設の機能と、建設するプロセス、2つの問題があります。どちらも全国に誇ることができるものにするべきです。

竹村編集長が選ぶ04重大ニュース
竹村 今年は1月から選挙が多い年でした。2月、伊那市の新しい助役、収入役の人事がありましたが、収入役に民間から48歳の白鳥さんを抜擢。酒井助役も51歳と若返りました。純粋な民間人が入ったのは伊那市では初めてのことなので、行政側に立っても、あくまでも民間人の目線でがんばってほしいと思いますね。
武田 民間出身の白鳥さんの、これからの動きはとても重要ですよね。
竹村 そうですね。合併という大事な時期にもきていますから…。それから、3月、宮田村の村議選でも29歳の新人が過去最高得票で当選。経済では、長い間、伊那商工会議所会頭だった登内英夫さんが勇退して、向山公人さんが新会頭になりました。副会頭も3人若返りました。今後が期待されています。
武田 次に、法定合併協議会発足。
竹村 北では伊那市・高遠町・長谷村。南では駒ヶ根市・飯島町・中川村。最近になって、住民意向調査について継続審査になったり、住民投票条例の制定を求める要望が不採択になったり―という動きがありました。そういうところで議会がどういう立場を取るか、注目されています。東伊那郵便局で強盗、という事件では、現金を奪って逃走した犯人を住民らが追いかけ、追いつめました。この事件は、いろんな教訓を与えたと思います。早期解決に結びついたのは、住民、郵便局員、市の支所職員、偶然通りかかった住民らの連携がうまくいったということですね。不幸中の幸いだったのは、犯人が逃げ込んだ小学校では、すでに子どもたちが下校した後だったということ。この事件後、各小中学校で今までにないような防犯訓練もおこなわれました。

住民のための合併論議
武田 今年は、合併論議の年でもありましたね。
毛賀沢 合併というのは一つの手段だと思っています。その地域を発展させる手段が合併であったり、自立であったり、と。その場合、やはり自分たちのことは自分たちでやろう、という姿勢が地域おこしの核心になるのではないかと―。
竹村 先日、「もう合併は決まったんでしょう」という、ある市民の声を聞いて驚きました。法定合併協議会での協議が進んでいます。来年3月に合併申請したいという期限があるわけですが、住民の意識がついていっていない、という印象がありますね。議論が煮詰まらないうちに進んでしまう、という動きは少し残念です。
武田 各地で住民の意向調査や住民投票がおこなわれ、当初の予想とは違う結果も出ています。村議、町議、市議の皆さんは、住民の代表として意見を言っているわけですが、その声が素直に届いていかない、という面も。
毛賀沢 合併論議は、国政の問題を避けて通れません。国の施策についてどう評価するか、というのが大きな問題。そこの議論を、議員の皆さんが住民の立場に立って、パイプ役になりながらやるべきだと思いますね。
竹村 例えば、住民投票や意向調査をしてもそこに法的な拘束力はありません。その結果、万が一、合併推進から反対に逆転しても、そこで「なにが不安なのか」「なぜ不安なのか」をもう一度浮き彫りにして、歩み寄ることもできますね。
武田 合併論議を通じて、住民の皆さんも自分たちの地域について真剣に考えた年でもありました。そういう意味ではプラスだったと言えますね。
毛賀沢 どういう街をつくるのかという、前に向かう話になるわけですが、それだけでなく、今まではどうだったのか、過去を振り返ることも大切だと思います。例えば大きなお金をかけて作った庁舎が無駄になってしまう…そういう地方行政がどうしておこなわれてきたか、ということも、もう一度見直すところまで議論を深めていけたらと思いますね。
武田 地元の文化、歴史をもう一度見直すことが大事ですね。
竹村 当然守るべきものもあります。一方で捨て去るべきものもありますね。
武田 まだまだ論議の時間はありますから、うまく進んでいってほしいですね。

未来へのキーワード
武田 来年に向かって、または21世紀の伊那谷のキーワードは。
毛賀沢 「地域力」。合併論議もありましたが、地域とは何なのか、を考える気運は高まってきていると思います。農業、商工業、さらに観光。そうしたさまざまなファクターを一つの力に高めていく場合、地域を構成している皆さんの力を、どう結集していくのかが大きな問題になると思いますね。やはり一つ一つの店、企業の努力なしには地域力は高まらない。また、結集しなければ高まらない。その折り合い、バランスをはかりながら進めていけば、未来は明るいと思います。
竹村 「守るべきものと捨て去るもの」。伊那谷には、すばらしいものがたくさんあります。合併論議が高まった間にも、再発見がずいぶんあったと思います。一方で、捨て去るべきものを抱え込むのではなく、便利さに頼るだけでなく、捨てることも大事、と思います。
武田 「誇り」。毛賀沢記者や竹村編集長のキーワードの根底にも、この言葉があるのではと思いますが、自分の地域に誇りを持たないと、その地域を良くしようという意思も力もわいてきません。誇りを持っていきたいですね。


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