2004年12月4日放送 

【上伊那輝く経営者:38】 緑地計画社長 福澤浩さん

環境世紀の測量設計業 確かな技術で最終ユーザーのために

地域とともに住民とともに 新しい測量設計のスタイルを

公共事業の利用者は、地域住民。そして、それはイコール納税者とも言える。住民の声や要望が最も反映されるべき事業だ。しかし、現状では、まだまだ住民の声が届いているとは言えない場面が多いだろう。
駒ヶ根市の測量設計会社、緑地計画は住民と設計、工事業者、役所など、一つの事業にかかわる全員の顔が見える方法を展開している。さらに、戦後経済の発展とともに失われつつある環境、緑の景観を守ろうと、多自然型工法を取り入れ、次世代につながる事業をめざす。
今回のいなまいニューススタジオは「輝く!経営者シリーズ」第38回。緑地計画の福澤浩社長に聞く。

福澤 浩さん
建設大学校で土木の専門知識を学び、国連食料農業機構の労働力移住計画に従事。マレーシア、インドネシア、ガーナなどで現地測量指導や農村計画、道路・河川計画に参画した。帰国後、建設コンサルタントとして国内の建設事業にかかわり、10年前に独立、緑地計画を設立した。
市民団体天竜川ゆめ会議会長。NPO法人全国水環境交流会理事。43歳。

ほんとうの緑地のために
武田 緑地というと、景観に関係あるイメージがあります。
福澤 自然の色って何色なんだろう、というところから始まっているんですね。自然の色には、緑色もあるし黄色も、赤もあるはず。植林して、一年中、山の色が変わらないという山もありますね。それを、少し皮肉をこめて、山に手をかけ過ぎてしまうと地球はおかしくなってしまうんじゃないか…というところがスタートラインです。
武田 緑地計画ではどんな仕事を。
福澤 地球全体を、もう少しやさしい景観に作り変えていく。そんなことをしていきたいと思っていますね。
武田 こちらの仕事の内容は幅広いですね。
福澤 一口に建設産業と言っても、いろんな知識が凝縮されて一つのものを作っているということを、一般の皆さんはあまり知らないと思います。
武田 この会社を始めたきっかけは。
福澤 もともと土木の勉強、経験をしてきたこともありましたが、微力ではありますが、何とか地域の皆さんのために―と。
武田 日本でも今、ランドスケープ、景観に目を向けて生態系を考えて工事をしましょう、という気運が盛り上がっていますね。
福澤 そうですね。
武田 少数精鋭というスタイルでないと、なかなか大変な面もありますね。
福澤 意思の疎通ですよね。何も言わなくてもわかっている、以心伝心でないと。例えば測量にしても、設計にしても全部一連でわかっていないと、すべてひっくり返ってしまうという仕事ですから―。今は一応、社員全員が何も言わなくてもお互いわかっているだろうと思っています。

左から武田キャスター、福澤さん、緑地計画社員の測量士・中村英喜さん、測量士・竹村弘光さん、土地家屋調査士・三沢聡さん
「道路だけでなく川や山にも測量に行きます。今は人工衛星を使ったGPSによる測量でミリ単位、さらにミリの下の単位まで測ることも」(中村さん)
「住民の声を聞き、その声をできるだけ取り入れ、地元の人が一番使いやすい計画にしたいと思っています。一人ひとり、使う人の顔が見える設計をしたいと」(竹村さん)
「土地の境界を決める時など、大変なこともありますが、土地家屋調査士としての知識をいかし、円満に解決できるよう心がけています」(三沢さん)

海外で日本を知る経験から
武田 福澤さん自身、海外などで、さまざまな経験をされたそうですが。
福澤 国土交通省が国策として、戦後荒廃した国土の復興のために日本中から若者を集めて、土木技術を教えるという大学で学びました。私が入ったころは、国土復興が終わってきていて、これからは海外の復興―という時代でした。それで、マレーシア、インドネシアのボルネオ、そしてガーナに赴任していました。海外で人々と接し、意見を聞いた経験、そして海外から日本を見た経験。そこから、日本が、これからどんなふうになっていくべきかが見えたのがちょうど20代の終わりごろでしたね。帰国したのは28歳の時です。
武田 海外から、日本は、どんなふうに見えましたか。
福澤 帰国した時がバブルの真っ最中でしたから、海外にいたころはバブルの少し前。石油ショックで日本がおかしくなりはじめ、それからどん底を味わって、じわじわと経済的に発展してきたころですね。赴任していたのは、主に途上国でしたから、その国の皆さんは「日本に追いつけ」という意識です。日本のものは何でもいい―という状態でした。そこで逆に「このまま日本が奢っていくと、どこかでつまづくんじゃないか」と思っていましたね。日本は基本的に、よそから何かを買って、加工して売ってお金にしていく体制ですから、日本はナンバー1になるはずがないんですが…。そして、帰国したあと、バブルがはじけて、「あ、やっぱり」と。

写真@
写真A
写真B
一昨年、緑地計画が請け負った天竜川の護岸工事現場(伊那市上牧・新水神橋上流)=写真@A。工事担当者から「環境に配慮した工事をしたい」と相談を受け、計画を立案=写真B。発注のままの工事を進めた場合、コンクリートで固めた護岸になるはずだったが、地域住民、漁業協同組合、野鳥の会に声をかけ、住民協議会を組織。そこであがってきた要望を工事に盛り込む形で進められた。
住民協議会の要望では「コンクリートは嫌」という声が多く出され、工事で発生した土を盛って、コンクリートは見えない構造で設計、施工された。現在、護岸は草地になっているが、その下にはコンクリートがある。
さらに「堤防から川に下りることができる階段を」「昔からあった伏流水の流れを復元してほしい」という要望もあり、工事中に発生した石を使った階段、多自然型工法によって昔の流れを呼び戻す工事も施された。
「実は下には石が積んでありますが、ススキや草が生えていて、なんでもない自然の風景になっています。これがいいんですね。安全はもちろんですが、こうした環境に配慮した工法も大切」(福澤さん)
「草の中には小動物も住めるし、生態系にも配慮した工法。これからはこういう時代になっていくと思いますね」(武田キャスター)

すべての顔が見える
武田 天竜川ゆめ会議の会長でもあるそうですが、仕事と重なる部分も。
福澤 モットーとしているのは「地域の皆さんの意見を聞いて、地域の皆さんのための公共施設、インフラ整備をしていく」ということ。市民団体のような活動団体があって、そこで地域の皆さんの意見を集約することが大事ですね。それと、天竜川ゆめ会議は完全なボランティア組織ですから、健全な生活基盤があって、そこの上に成り立つ市民団体という位置付けと思っています。
武田 ここ数年で、土木工事もだいぶ変わって、住民の意見も反映されるようになりつつありますね。これからの展望は。
福澤 例えば、地元の説明会で設計者が打ち合わせをします。すると、その人は地元の意見を全部知っています。その人が設計して工事が始まります。今のやり方だと、役所、測量設計、工事全部バラバラなんですね。大切なのは、一連の流れでやるということ。役所はコントロールをし、我々測量設計、コンサルタントが地元の意見を聞いて設計する。次に役所が工事を発注したとしても、我々コンサルタントが地元の意見を反映させながら工事を進めていく―という一連の流れが必要ですね。
武田 地元の意見が反映されたか、監視もできますね
福澤 そうです。そこでチェックもできます。そういうスタイルになっていくんじゃないかと思っています。

【有限会社緑地計画】
一般土木施工管理、景観・修景計画、森林調査、都市公園計画など営業項目は多岐にわたる。土木建設事業の中で、主に調査・測量、設計、工事施工を担当。公共事業のほか、民地の地籍調査なども請け負っている。
駒ヶ根市赤穂
0265・83・7744
http://land-lab.co.jp


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