2003年12月20日放送 

【上伊那輝く経営者:16】 マスダ社長 増田 清さん

"微細加工"で世界のマスダをめざす 一歩先を行く高い技術力

〈ものづくり〉にこだわり続けて 微細加工から豆腐加工まで

決してあきらめない姿勢を貫き、医療機器の核となる微細加工から豆腐加工まで手がける企業がある。宮田村にある株式会社マスダだ。胃カメラの先端部分の技術開発と、地元産大豆を使った豆腐加工。全く違う分野にも思えるこの2つの技術には、〈ものづくり〉への飽くなき挑戦という共通のこだわりがあった。
今回のいなまいニューススタジオは「上伊那輝く!経営者」第16回。〈ものづくり〉を追及し続ける増田清社長をゲストに迎え、そのこだわりに迫った。
写真:玄関に置かれている「ミニチュア・アペリオ」の前で(左は武田徹キャスター、右が増田清社長)。今年の第15回優秀板金製品技能フェアで金賞を受賞。大手機械メーカー工作機械の完全ミニチュア。マスダの技術が集結している

増田清さん

株式会社マスダ代表取締役社長。20歳で独立し、以来40年、常に先を見据え、確かで高度な技術に根ざした経営で成長してきた。特に、高度で熟練した技術を要する微細加工の部門では、業界でもトップクラス。胃カメラの先端部分など精密部品製造加工のほか、板金加工、組み立てまで一貫した加工に取り組む。
また、「豆腐を作る機械を作りたかった」(増田社長)ことがきっかけという豆腐加工にも挑戦。5年前から手がける地元産大豆を使った豆腐製造販売も地元に根づいた。現在は、豆腐のほかにクッキー、ドーナツなど製品の幅を広げる。60歳。
株式会社マスダ
0265・85・2086

常に先を見ながら
武田 豆腐を作り始めて、どのぐらいですか。
増田 5年になります。すべて宮田村にある大豆を使って。
武田 農家の方々も喜んでいるのでは。
増田 遠くの田んぼの中から、農家の人が「おーい」と手をあげて、あいさつしてくださったりしますね。「我々の豆腐」という言い方もしてくださって―。
武田 金属などの加工と豆腐。不思議な組み合わせですね。やはり、ものを作るということが好きなんだという感じがします。
増田 作る、という点では同じ気持ちですね。
武田 独立して会社を作ったのは何歳で。
増田 20歳です。今考えると、よくやったなあと思いますが、最初は苦労の連続で。技術がなければできないので、独学に近いかたちで―。
武田 独立してから40年間というのは、日本経済も、ものすごく変化しているし、作るものも変化してきた。それについていく、あるいは先を行くというのは、大変なのでは。
増田 常に先を見ながらやっていかないと追い越されてしまうので。情報収集して、先を見ながら、ということです。最初は父親と母親と3人で始めました。現在は110人の社員がいます。それでも、まだ軌道に乗ったというふうには思えません―。

マスダが製造販売している「こだわりの豆腐」(手前)とゆば(写真は揚げたもの)

内視鏡の先端などマスダの微細加工製品の一部

若い社員とともに
武田 社員の方々、とても若いと聞きました。
増田 意識的に若返りをして、現在は、平均年齢が31歳。来年も若者を採用して、平均年齢20代になります。
武田 若者たちは、どうですか。
増田 すごく働くし、意欲的。とてもいいです。遊ぶ時には一緒になって遊ぶし、仕事も一緒になって―というふうに、つきあいながらやっているつもりですが―。
武田 ここでは、大変高度な技術、熟練が必要ですね。ということは、若者が入社してすぐにはできない。ということは、若者たちが技術を身に付けるまで待っていなければなりませんね。待つことを大事にしているということ。
増田 そうかもしれません。

約50台の機械が整然とならぶ工場内。10年以上の熟練が必要な機械も多い(右は増田保夫部長)

マスダで製作している内視鏡の各部品を前に。核となる微細な部分をマスダが加工し、大手メーカーで製品となる(右は生産技術担当の宮澤基夫課長)

決してあきらめない
武田 最近は、海外にもシフトしているそうですが。
増田 今はフィリピンのセブ島に250人の社員で。現在、3社共同でやっています。1社では、なかなか難しいと思いますが―。
武田 一歩先を見る―という点でいえば、分社化もされたそうですが。
増田 今年の5月に。
武田 これも相当な決断が必要だったのでは。
増田 思い切ってやりました。それぞれに社員が意識してくれて、自分がやるべき目標がわかったので、分社した両方ともがんばって、いい方向に向いてきてくれました。
武田 ここで扱っている内視鏡など、大変に熟練した技術が必要。これからは、どんな夢を。
増田 この微細加工で、日本のトップクラスになりたいと思っています。
武田 社長室の壁に『最初からだめ無理と思っておこなうと絶対できない』と書かれていますね。
増田 そうですね。あきらめたら、おしまいです。
武田 40年間、そういう気持ちで。
増田 はい。
武田 それから『本気でやればたいていのことはできる』『本気でやれば何をやってもおもしろくなる』『弱気は最大の敵』ともあります。
増田 はい、そう思いますね。強気―です。
武田 2人の息子さんも現在、関連の企業にいるそうですが、父親がこうしてやる気になって、楽しくやっている後姿を見て、「俺たちも―」ということになったのでは。
増田 あえて、後を継ぐ、というような話はしませんでした。そういう気持ちがあったら―ということで、強制的には進めませんでしたが…、うれしいです。

内視鏡の先端部分を手作業で加工。100分の2_という微細な加工のため、顕微鏡をのぞきながらの作業となる。高度な技術を要する


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