| 武田 |
「三面張り水路に自然の流れを取り戻す」プロジェクトなどは、順調に進んでいますか。 |
| 福澤 |
進んでいます。三面張りっていうのは、川の両側がブロック、底がコンクリート。防災を主眼に置いていた時代には重宝がられ、どんどん造られた。昭和39(1964)年に天竜川も国の直轄河川になり、改修工事が始められた。整備はされたが悪く言ってしまえば、味気ない河川になっていったわけです。 |
| 武田 |
当時を過ごしてきた人たちは、三面張りに対して違和感を持っていない。三面張りの方が、管理や防災面から良かったんですね。確かに三面張りになると、何もしなくて良い。しかし、ヘビを見たり、ホタルが出たとか、魚を捕まえたとか。かつての川には、いろいろな楽しみもあった。これがコンクリートになって、全部なくなってしまった。 |
| 気賀沢 |
昔は、川にもっと降りられた。柵(さく)とかも張ってなくて。もっと自然な形で遊べましたよね。 |
| 武田 |
だから、今の川は遊ぶ場所ではなくなってしまった。 |
| 福澤 |
確かに危険個所など、どうしても三面張りにしなければならない所はあります。でも安全な場所については昔の川の風景を再現したらどうだろう、と。順番としたら、川底に土が堆(たい)積して草が生えるような方法にしたらどうか。そうすると瀬と淵(ふち)が復元される。その次に底のコンクリートや横のブロックをなくして、違う方法ができないか研究する。 |
| 武田 |
我々の世代は昔の川を知っている。だからこそ三面張りが味気ないと感じますが、今の子どもたちは最初から本来の川の姿を見たことがない。三面張りが当たり前だと思っているんですよ。「それは違うんだ」という事を我々の世代が率先してやっていかないと、昔の良い状態の川に戻らないと思う。 |
| 福澤 |
三面張り水路は効率的だが、万が一子どもが落ちた場合に、はいあがれない。だから川を柵で囲ってしまう。今では、川で遊ぶのは悪い子なんです。私たちが、遊べるような川にしなきゃいけない。私たちの原体験にある川を復活させて、子どもたちに遊ばせてあげなければ。 |
| 気賀沢 |
石組みがちょっと崩れただけなのに、「木を切ってコンクリートにしてしまえ」という考えの方もいます。それが安全と言われれば、安全なのかもしれない。木が流れてしまったら、2次災害が起きる可能性も否定できませんから。ただし、やはり石積みで良い所は石積みにして、少しずつ自然を取り戻していきたい。その方法を県に提案したら、前向きな返事がありました。 |
| 福澤 |
このような立場になってから、国土交通省や建設事務所の所長さんたちとお話しする機会が増えました。所長さんからは「今までは、住民意見を国や県に伝えてくれるのは区長さんなどの人たちだった。皆さんのように川について活動している市民団体などの意見も取り上げていかなければ。それが今後の起爆剤になるでしょうね」というお話だった。これからは、自治会と住民、そして市民団体が、行政とともに共同作業で川をつくっていけたら、と思います。 |
| 武田 |
国の近自然型の川づくりなどは盛んに言われていますよね。 |
| 福澤 |
まだ、完全な近自然型という流れには乗っていない。その流れに乗るには、まだ時間がかかると思います。それを出来るだけ早く求めていくのも、我々の役目ですね。ゆめ会議で先日、近自然工法の研究者を招いて一般公開の講座を開いたのですが、土木関係の技術者なども大変多く参加してくれました。ハイレベルの質問も出ました。工事関係者にも、自然配慮の思想が浸透しつつある、という状況ですね。 |
| 気賀沢 |
近自然工法の川になったら、私たち自身が草刈りなどをやろうと思います。いやだなとは思わないで。自然に戻すということは、一人ひとりが川についてかかわらなくてはいけないと思います。ゆめ会議の始まりは国の主催ということで疑問もありましたが、市民団体になって川に対する自分の意見をみんなが聞いてくれ、そしてアドバイスをしてくれる。もっと多くの人に参加していただき、いろんな意見を言ってもらいたいですね。 |
| 福澤 |
市民団体と行政が一致団結して、川を育てることができれば。それが本当の自治の姿だと思います。 |