| 武田 |
ここは古鼡水辺公園というんですね。「ふるいねずみ」と書く。この公園の辺りの矢作川では「近自然工法」で河川改修を行ったそうですが。 |
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上流から古鼡水辺公園を眺める。伊那谷でも環境配慮をうたい文句にした「多自然型」工法が各地で採用されているが、その違いは一目瞭然?
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| 宮田 |
川というものは元来「治水・利水」で語られてきました。住民の安全のために、コンクリートで固められてきたわけです。 |
| 武田 |
洪水対策が中心だった。 |
| 宮田 |
そうです。しかし、それではいけないのではないかと。河川にはもともと(人間以外の)生物が棲(す)んでいるのであって、それを大切にしていこうと。15年ほど前に欧州から日本に入ってきたもので、「生物を活かした川づくり」を思想的な部分から考えていこうと。それが近自然工法です。 |
| 武田 |
生物も棲みやすいということは、人間にも楽しめる川といえますよね。 |
| 硲 |
そうなんです。生物にも、川を楽しむ人たちにとっても、ふさわしい川づくりを豊田市がやってくれている。住民としては有難いことです。 |
| 武田 |
豊田市が「近自然工法」を先進的に導入した背景には、何かあるのですか。 |
| 宮田 |
もともと矢作川は「いじめられた川」だった。昭和30〜40年代に非常に開発が進み、川が汚れ、生物は激減していきました。そんな中から「これは川ではない」と住民が高い意識を持った。行政も一緒にやっていこうと取り組み、今日まで来たわけです。 |
| 武田 |
近自然工法で行った「水制工」の前に来ています。これはどのような役割を持っているのでしょうか。 |
| 宮田 |
ここは川の形から、水が当たる所。水際は、少しずつ崩れていました。本来ならば、この水際はコンクリートでビシッと固めるわけなんです。しかし、「近自然工法」によって、「水制工」という伝統工法を採用した。「水制工」によって川の中央は早く、護岸の近くはゆっくりとした流れになります。水の緩やかな所に棲む生物、早い所に棲む生物、それぞれの棲み分けができるため、多様な生物に対応する。治水も、環境にも配慮できるわけです。「近自然工法」も河川の整備であって、治水を無視しているわけではありません。やる所はしっかりやって、環境に配慮できる所でやっていこうという考え方です。 |
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川の流れに変化をもたらす水制工。治水にとどまらず、生態系にも好影響を及ぼしているという
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| 武田 |
ここには自然の砂が残っています。こういう水辺って、今の川にはないですよね。護岸をコンクリートでやってしまうから。 |
| 宮田 |
水辺に近付きたくても、近付けないような構造になっていますね。 |
| 武田 |
このように川に近付ける場所だと、「子どもが落ちるから柵(さく)がないと危険だ」という人が必ずいます。 |
| 硲 |
柵で覆ってしまっても、そのすき間から落ちることもある。ここでは、川岸は流れが緩やかなので、夏などには少しせき止めて、小さなプールをつくって遊ぶ姿もみられます。自然って、とても怖いものですが、親しみやすい所もあると思います。 |
| 武田 |
今度は、児の口公園に来ました。 |
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官庁街や中心商店街の至近距離にある児の口公園。グラウンドやプールを取り壊して造成した空間には小川が復元され、多様な生物、植物がすむ。住民の手によって水田もできた
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| 硲 |
ここは昔、グラウンドとプールがあったんですよ。 |
| 武田 |
とてもじゃないけど、ここにグラウンドがあったとは思えませんね。ここは市街地のど真中にあるんですよね。ここに小さな川があるのですが、エビなんかがいますよ。魚もいますね。まさにビオトープ空間。 |
| 硲 |
夏にはホタルがたくさん出現します。 |
| 武田 |
住民の意識が高いから、このような公園ができるのですか。 |
| 硲 |
両方じゃないですか。住民がいくらお願いしても、市がそれに応えてくれなければ出来ない。そして、この公園を見守り、管理するボランティアがたくさんいます。 |
| 武田 |
普通だと、公園内の歩道なんかはコンクリートにしてしまう。ここではあえて土にしてますよね。「近自然工法」と関係があるのではないですか。 |
| 宮田 |
そうです。「近自然工法」の思想から造った公園です。 |
| 武田 |
公園の中に水田もあるんですね。この辺りもコンクリートでやっていないから、自然の形になっていますね。この水田は、もともと造る予定だったんですか。 |
| 宮田 |
最初は湿地にして、トンボ池にする計画でした。しかし、地元の人たちが「遊んじゃえ」ということで田んぼにしちゃいました。収穫した稲は、地元の人たちが子どもたちを集めて、もちをついて食べています。 |
| 武田 |
市街地の真ん中に、これだけの緑がある。豊田市も思い切ったことをやりましたね。通常は考えられません。私の近所にも昔は、このような小川がいっぱいありました。全くコンクリートを使っていないから、自然にいろんな植物も戻ってくる。子どもも喜ぶのでは。 |
| 宮田 |
夏になると子どもがいっぱいです。今まで公園にいなかった子どもたちが、戻ってきた、という感じ。生物と同じですね。 |