2001年12月29日放送 

2001年総集編

いなまいNSがとらえた激動の2001年

武田徹キャスターを迎えて始まったいなまいニューススタジオも一年目を終えようとしている。ケーブルテレビと新聞のメディアミックスという形をとり、上伊那はもとより伊那谷、そして天竜川水系全体をとらえてリポート。川や森といった自然環境問題から、子ども未来センターをはじめとする教育、文化問題までテーマに取りあげ、各方面で活躍する人たちもゲストに迎えた。今回の総集編では、武田キャスターと伊那毎日新聞社の竹村編集長、吉沢記者が印象深かったニュースを振り返る。
写真:武田キャスターとともに、一年を振り返った竹村編集長(右)と吉沢記者(中)

見直し議論進む子ども未来センター
武田 吉沢さんは、どんな取材、出来事が頭に残っていますか。
吉沢 やっぱり子ども未来センターに尽きますね。今まではローカルな取材が多かったわけですが、このセンターの一件は全国レベルの話題になりましたから。かなり勉強になりました。
武田 大芝高原(南箕輪村)に箱物の子ども未来センターをつくろうということになって、それが見直しになって論議をしているわけですね。
吉沢 拡大検討委員会で協議が進み、体験型展示や参加型体験などのポイントがあがってきているんですが、これは当初(見直し前)の構想とだいたい同じなんですね。当初の構想というものが悪かったわけではなく、しっかり練ったものだったため、同じような素質を持ったものになってしまうのも仕方がないと思います。しかし、これからの不安はあります。
武田 佐久の子ども未来館を取材(5月19日放送分)して、何かやっぱり違うんじゃないかという意見もでてましたね。
吉沢 一回は興味を持って見ることはできるんですが、二回、三回と行きたいとは、率直に思わないですね。
竹村 地元で活発な議論が行なわれたことは、とても良い事だと思います。が、ここへ来て、そのトーンがダウンしている。皆さんの関心が冷めてきたかなと感じます。
武田 しかし、住民レベルで「もう一回やり直してみんなで考えましょう」という取り組みは、全国的にみても非常に珍しいケースなんですよね?
吉沢 やはり住民が参加できるということは、大きなことです。せっかくの機会を、もう少し活かしていく必要はあると思います。

田中知事の脱ダム宣言の余波
武田 竹村さんはどんなニュースが一番印象に残っていますか。
竹村 やはり田中知事関係になりますけど、戸草ダムの県の利水からの撤退。だいぶ地元に波紋を投げかけました。
武田 田中知事の脱ダム宣言が、天竜川の支流である三峰川の戸草、美和ダムなどの問題を通して、改めて私たちに「ダムとはどういうものか」といった関心を引き起こしたことは事実ですよね。
竹村 戸草ダムはだいぶ前から計画があった。そこに一石を投じ予定していた利水事業から撤退しようと。そうすると治水だけが目的のダムになり、多目的ではなくなってしまうわけです。そこから「戸草ダムは本当に必要なのか」という議論がでてきた。地元でもだいぶ議論しましたが、良いきっかけになったと思います。結果はどうであれ。
武田 美和ダムも、砂がたまりすぎて、結局バイパスをつくらなければならなくなった。このような事も、今まで一般の我々は知りませんでしたよね。
竹村 当時はバイパスを通すのかと受け流していました。やはり田中知事が視察に来て「砂がたまった美和ダムの上流に、さらに何百億かけて戸草ダムをつくるのか。その間に遠州灘の砂がなくなっちゃう」と疑問を投げかけましたが、そういう視点から今まで見ることがなかったですね。遠州灘まで含めた天竜川水系全体でみることが、これから大事なことだと思います。
武田 それから、駒ヶ根市を流れる上穂沢(わぶさわ)川(8月25日放送分)をはじめとした大きな川でなく身近な川で、災害復旧ということで工事がされるケースが非常に多いということです。とにかく災害のためだといって、全部コンクリートで固めるという時代ではなくなっているような気がするんですが。
駒ヶ根市の上穂沢川を取材。三面護岸と自然環境のありかたについて、住民の生の声を聞いた
竹村 「あふれるから止めろ」という発想に疑問をもつ人も増えてきました。
武田 実際に欧州では「川は氾濫(はんらん)するのが当たり前」だと考え。だから川の自由も取り戻そう、自然に近い工法をやりましょうだとか、河川の工法が変わってきています。上穂沢川も多自然型工法といわれていますが、欧州とはだいぶ違う。多自然型工法を名乗るなら、もっと自然に近い工法をつくってほしいと思います。川で遊んだ世代だから、未来世代にも昔の川をもう一回再現してあげたいと私は思うんですけど。
竹村 そう、それを我々の世代は忘れがちなんですよね。当時は本当に川が楽しい場所だった。なんだかそれが忘れられて、川がコンクリートで固められていく。さびしいなと感じます。

大芝高原、大平宿、そしてアルプス子ども会
武田 私も一年、この番組を担当して、いろいろ印象に残るものがあるんですが。やはり最初、子ども未来センター予定地の大芝高原を訪れ、雪のなかリポートしたことです(1月20日放送分)。800本余りの木が切られたということも伝えましたが、切られた木の跡は今はどうなっていますか?
吉沢 保全整備が施され、かなりきれいになっています。村の事業で大芝高原の開発も始まっています。
武田 その他印象に残ったことは、飯田市の大平宿に行ってきました(11月10日放送分)。大変美しい自然のなかで江戸、明治、大正時代の古い建物が残っている大平宿で羽場崎さんから話を聞きました。昔、囲炉裏(いろり)が母の実家にありまして、そのことを思い出しました。
囲炉裏が残る大平宿を武田キャスターが現地レポ
武田 また、駒ヶ根市のアルプス子ども会の赤羽さんとも話しました(10月27日放送分)。子どもたちが自由に行動できるように場所を提供していました。27年前にスタートして、のべ6万人の子どもたちを受け入れたそうです。
竹村 私も取材しましたが、自然と親しむ子どもの姿は生き生きしていました。
武田 赤羽さんも「子どもたちの持っている能力をもっと信じなさい」と話していました。かわいい子には旅をさせなくては、ダメかも知れませんね。

母なる川天竜川
武田 そのほか、印象に残ったことはありますか。
竹村 三峰川の源流を取材した「はじまりの一滴」(7月28日放送分)は反響が多くありました。
三峰川の源流「最初の一滴」。ニューススタジオでは、源流から天竜川の河口までを取材し、今後も追っていく
武田 こちらに住んでいても、初めてじゃないですか。三峰川の一番の上流をご覧になったのは。私は天竜川下流の海の砂浜にいたアカウミガメ。あれが印象的でしたね。あんな小さい子ガメが、あんなに大きくなるんですよ。20年後に生まれた所に戻ってくるのは、5千分の1だそうです。天竜川の下流でアカウミガメが生息していることを、案外私たちは知らないんじゃないんですか。
竹村 天竜川の豊富な砂がなければ生きられない。私たちがウミガメを呼んでいるという意識も必要ですね。
武田 砂浜に車で乗り入れて卵をつぶしてしまうケースも多いらしい。考え直さなければいけないと思いますね。天竜川がどういう影響を及ぼしているか、この番組を通じて多くの人に知ってもらえれば、今までと違った川との付きあい方ができると思います。水の問題でも、何の気なしにごみを捨てている天竜川の水が、下流の水源になっていることも知ると、ちょっと違ってくると思うんですよ。ウミガメがかわいいなと思ったら、もっと広い砂浜を用意できるような21世紀にしていかなければ、まずいのではと思います。

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