2001年12月15日放送 

中澤春樹さん

産業と自然環境の共生をめざす 「リサイクルシステム研究会」

天竜川水系 諏訪湖〜遠州灘55カ所350人が24時間水質調査
1月に親子で水質調査報告会(リサイクルシステム研究会)

伊那テクノバレー地域センター、リサイクルシステム研究会(会長・向山孝一KOA社長)が行っている天竜川水系健康診断の水質調査結果がまとまり、11月29日、伊那市内で報告会が開かれた。この健康診断は、天竜川の源流である諏訪湖に流れ込む支流から天竜川本流、天竜川に流れ込む支流の各所で一斉に、24時間の水質調査を行なうもので、今年で5回目となる。
結果を報告した信州大学理学部の沖野外輝夫学部長は「水質を見ているのではなく、川の周りの状況を見ているんだということをわかってほしい」と話し、支流の影響が天竜川本流の汚れに大きく影響していることを強調した。
今回のいなまいニューススタジオは、リサイクルシステム研究会のリサイクルグループ長として、天竜川水系健康診断や、この夏初めて行われた「親子で水質調査」、「天竜川環境ピクニック」などに取り組んでいる中澤春樹さん(NEC長野ラインサポート部長)に、これまでの取り組みや今後について、武田徹キャスターが聞いた。
写真:中澤春樹さん(右)と武田キャスター

中澤春樹さん
リサイクルシステム研究会リサイクルグループ長。NEC長野ラインサポート部長。伊那市美篶。

諏訪湖の影響は伊那市の中央橋付近まで。辰野町の新樋橋までの増加、天竜橋から下流で再度汚染がないことは今年の特徴

表中・24時間2時間おきに13回調査した結果の最大値と最小値を示す
グラフ。釜口水門は最大、最小の差があまりなく定常的に汚染されていることがわかる。他地点では最大値と最小値の差があり、支流などからの汚染流入が減少すれば水質改善が期待できると言える

表下・昨年と比較すると、やや改善四河川、ほぼ同じ六河川、やや悪化六河川、大幅悪化三河川。小沢川は、西天用水流入部上流でも3ppmであり、まだこれより上流部にも汚染源があると思われる

諏訪湖の汚れの影響は伊那市付近まで(天竜川水系健康診断結果より)
中澤 CODの数値でみると、諏訪湖の影響を受けているのは伊那市の中央橋あたりまで。その下流、飯田市の手前あたりで悪化し、また改善し、河口まで行くと希釈されて改善していく、ということがわかります。
武田 ということは、諏訪湖の影響というより、自分たちが流す水によって天竜川がよくない状況になっているということですね。天竜川の流域に住んでいる人は、諏訪湖だけが悪いんだということは言えませんね。
中澤 その通りですね。今回の調査では24時間に13回調査しています。それは、河川に流れている水は、私たちの生活のリズムに合わせて流れ、企業の排水もある程度たまったところで流れる、というケースもあるので、一定していないという理由からです。その変化を、CODの最大値、最小値としてまとめています。釜口水門のように最大値・最小値の差が少なく、定常的に汚れているところもあるが、非常に高い値と低い値の差が大きい場所もあり、汚れが入らなければきれいになる場所だということが言えますね。
武田 ということはちょっと注意すれば改善される可能性があるということですね。

リサイクルシステム研究会
中澤 リサイクルグループでは、地域社会との共同キャンペーン、天竜川水系に関する調査研究を、システムグループでは、参加企業の枠組みによる共同システムづくり、ということでオフィス古紙回収などを行なっています。通常のコピー用紙を他の古紙と混ぜてしまうと、質を落としたものにしか再生できないが、コピー用紙だけで回収することによって、再びコピー用紙として戻そうとしています。
武田 いろんな企業の意志疎通というのはうまくいっていますか。
中澤 はい。会員企業以外からの参加もいただいています。そして、もうひとつのグループ、リデュースグループでは、生産と環境の融合をめざして、経営改善を行なうことによって、環境へ負荷の軽減に結び付けていこうと、その手法を研究しています。
武田 これからの企業は環境問題とうまくやっていかなければいけませんから、このリサイクルシステム研究会というのは、企業にとっても、とてもありがたい情報、取り組みをしている、ということになりますね。
中澤 そうですね。情報を企業間で水平展開することができるし、それを地域社会へ拡大しようとする時、非常に有意義だと思います。

次世代の子どもたちへ
武田 この夏は、親子で水質調査というのも行なわれたそうですね。
中澤 昨年、一昨年は天竜川の支流に流入する河川を、小、中、高校生の皆さんに呼びかけ、身近な河川の水質調査ということで実施しました。今年はそれをもう少し拡大して、リサイクルシステム研究会の会員企業に呼びかけて、その社員や家族に参加してもらいました。夏休みの期間中、子どもたちの夏休みの一研究にもできるようにと。
武田 学校側も巻き込んで、理科の宿題にしてもおもしろいですね。
中澤 そうですね。
武田 この親子で水質調査の結果は来年1月に発表会を開くそうですね。子どもが参加すると、大人の意識が変わってくるということがあるんじゃないですか。
中澤 子どもに指摘されて、これじゃいけないなと感じる時もありますね。
武田 子どもたちが川に接するようになるには、環境のことを考えよう、と大人がまず出て行かないといけないですね。
中澤 いろんな機会ごとに、川に接することが増えるといいと思います。
武田 昔の川のいいところを、次世代の子どもたちにも伝えていきたいですね。

平成13年度天竜川水系健康診断結果報告より
川を汚しているのは、わたしたち支流域
調査期日 平成13年9月6日午前10時から7日午前10時まで

参加人数 諏訪湖から遠州灘まで55カ所、350人

調査項目 COD(科学的酸素要求量=水中の物質が酸化されることによって消費される酸素の量。数値が高いほど汚れが進んでいることを示す)、硝酸態窒素(農業用肥料など農業系の影響を調べる指標)、アンモニア態窒素(家庭排水や工場排水など生活系、産業系の影響を調べる指標)、リン酸態リン(同)。

付着物川底の石の付着物を採取し、窒素、PH(酸性を示す尺度)、EC(電気伝導度=電気の流れを調べる。一般にECの数値5以下がおいしい水と言われる。見た目は透明できれいな水に見えても、EC数値が高く質が悪い場合がある)を調査。付着物についての調査は今回はじめて。

監修信州大学理学部長・押野外輝夫氏

諏訪湖の汚れの影響は伊那市付近までで、そこから下流については支流との合流や都市部で汚れ、山間部で少しずつ浄化される、というくり返しである。全体的に見て、過去五回の調査で大きな数値の変動はなく、水質浄化への対策が取られていないことが明らかになっている。

EC(電気伝導度)の数値で見ると、天竜川本流は数値が約15〜25の間。一般に、山が荒れると川に流れ込むものが増えて数値が高くなると言われ、数値で見ると天竜川左岸から流れ込む支流のECが高くなっていることから、左岸側(南アルブス側)の山が荒れていることが推測される結果となっている。

世界的にも貴重な調査
沖野外輝夫理学部長の話
流域全体を扱っていること、同時に多地点でサンプルを取っていること、24時間を通して多地点で実施していること、この点で世界的にも貴重な調査。
調査を5回続けてみると、天竜川の本流の上流については諏訪湖の影響を受け、諏訪湖の状況次第で変わるが、天竜川全体で見ると似たような数値で経過している。諏訪湖の影響だけでなく、途中の都市の影響を受けていることが言える。天竜川に流れ込む支流の汚染が天竜川全体の汚染につながっていることがわかり、どちらかといえば支流の方が少しずつ汚れている傾向がある。

【リサイクルシステム研究会】
産業の発展と自然環境の共生を図るため、調査研究・情報提供事業の一事業として平成2(1990)年「産業廃棄物等の適正処理についての研究会」が発足。平成五年「リサイクルシステム研究会」に改称した。
循環型社会の構築をめざし「地域における産業廃棄物の現状と将来の見通し」「処理対策についての現状と将来の見通し」「生産活動などにおける問題点とその対応策等」について調査研究などを重ねている。
現在は「リサイクルグループ」(環境教育・環境ピクニック・水質調査)、「システムグループ」(啓蒙資料の作成・経営者教育・システムづくり)、「リデュースグループ」(循環型社会に結びつく経営改善手法の研究)の3グループに分かれ、それぞれ研究、事業を実施している。
現在参加企業は21社29名。平成13年度の主な活動は、▽リデュースグループによる現場改善活動▽オフィス古紙回収システム実施▽第八回天竜川水系環境ピクニックの実施▽夏休み親子で水質調査▽天竜川水系健康診断実施

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