2001年12月1日放送
問われる公共事業
「子ども未来センター」拡大検討委員会・いきいきプログラム12
具体像いまだ見えず 期限内の構想策定は果たして可能か
県が南箕輪村大芝高原に建設を予定している子ども未来センター(仮称)の見直し作業は、今年4月から9月まで計5回の有識者会議で構想素案を策定、10月からは一般公募委員を含む拡大検討委員会へと協議の場を移行し、構想の策定に向け論議を続けている。
県は3月末までに構想を策定するとの考えだが、「期限」が迫る一方、いまだ「姿」は見えていない。
拡大検討委員会は11月末までに3回開き、各委員の独自案も参考に検討を進めている。また、上伊那の各種ボランティア団体有志が、大芝高原を拠点に定期的にイベントなどを計画するといった新たな動きも出てきた。そこで、今回は第2回、第3回の拡大検討委員会と住民活動について取り上げる。
写真:地元の南箕輪村で開かれた第3回会議
「自然」に視点 「森」「環境」などキーワードに各委員が独自プラン提案
10月27日に県庁で開いた第2回委員会では、対象年齢とテーマ「サイエンス」に基づいて扱う分野について論議。対象年齢は、「中心的ゾーンは小中学生を念頭に置くが、これに限定するものではない」という方向で確認した。
分野に関しては、一般公募委員と有識者会議委員が各自の施設案や構想を提示。
▽「森の自然館」(工房、ビオトープ、ワークショップ)
▽森林から「知」を求める(大芝の森林、周辺生態系保全、木造施設)
▽科学と人間社会のつながり・地球環境と環境循環型未来社会への取り組み(自然物利用の製作、造形活動などの実体験)
▽体験型サイエンスセンター
▽夢のある遊び.体験▽空想、知覚と科学
▽頭・手を使った能動的活動
などが出され、「森」「自然」「環境」などをキーワードに「自然」を根幹とすることを共通認識として確認した。
11月18日に南箕輪村で開いた第3回会議では、委員提案を基に施設機能について協議した。
ドイツ・ハノーバー州が教育方針として掲げる▽感覚体験▽自然が持つ精神的意味の学習▽自然の中で遊び学ぶ─など数項目を参考に各案を再考。海外施設との連携など、幅広いネットワークの構築や、大芝の自然を生かす屋外スペースの活用、施設内外の指導者養成、地元ボランティアの巻き込み─などの意見が上がった。
「まずは動こう!」
地元ボランティア団体がオリジナルプラン立ち上げへ
先の不透明な未来センター建設計画に先駆け、子どもたちのために具体的な行動を起こそうと、地元ボランティア団体有志が、大芝を拠点とする独自プラン「信州子どもいきいきプログラム12(仮称)」の立ち上げ準備を進めている。
同プログラムは、1カ月に1回、各団体がイベントをリレー開催し、1年を通じて楽しもうという企画。各団体が持つ活動ノウハウを生かし、遊びと学びを対等とした「活動」を第一に、その工程から子どもたちの主体性や自主性の育成につなげ、県や拡大検討委へ提案していくことがねらい。積極的活動の展開から、「未来センター整備の片輪としてサポートするための試行」(事務局)としている。12月上旬に本格始動する予定だ。
構想策定期限まで3カ月 「協議不十分」に懸念
10月からセカンドステージへと場を移した子ども未来センター建設見直し。拡大検討委員会では、一般県民委員も交え、住民に近い視点での検討を図ってはいるが、依然として施設の具体像は見えず、大きな動きはない。各委員が独自案を示し、「自然」を根幹に、科学や芸術を取りこむという一応の施設の方向性や性質を確認してはいるが、委員会では各案に対する十分なディスカッションは行われていない。
提案内容も、テーマの支柱となりうる要素から、ソフトオープン時に実施可能な事業、来年度立ち上げ予定の実行委員会の位置付けなどの具体案まであり、さまざま。また、テーマ「サイエンス」のとらえ方や対象年齢などに対し、異論を唱える委員もあり、委員間の認識の相違や提案の一人歩きなど、足並みがそろっていない。
見え隠れする不安と不満
子ども未来センターの「姿」はいつ見えてくるのか
「予定地」を知らせる看板。文面には「もう少し待っていてね」と
月に1、2度の委員会協議で、果たして煮詰められるのか。県は、構想の策定に際し「具体的なイメージがわく段階まで」の考えを示しているが、刻一刻と期限が迫る一方、不透明なままの現状に対する不安の声は強まっている。
「いつできるのか分からないものを待つにも限度がある。期待してはいるが、村や住民の声は、どこに取り入れられるのか分からない。聞いただけ無駄ではないのか」「『全国に誇れるもの』といったって、どうせ3年もすれば人が来なくなる。有名な所だってたくさんつぶれた。盛っているのはディズニーランドぐらい」「あのまま何も作らずにおけばいい」─。
拡大検討委発足後の2度にわたる住民意見交換会で顕著に現れた住民の関心の薄れや、「県の事業ならまかせておけばいい」という住民意識の再台頭、混在する「最後の決定権は県」というあきらめに近い声─。具体的見直しの開始当初に見られた期待は影を潜め、再び「県不信」の風潮が垣間見られるようになっている。
未来センターの構想策定に残された時間はわずか。地域活性化につながる施設を期待する村や、地の利を生かしたものを望む住民の声を反映したプランを示し、住民の不安と不信を払拭することができるのか─。県事業の責任は県民にあるが、今、その代弁者として期待を背負う同委員会に課せられた責務は大きい。
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