2001年11月17日放送 

木下啓さん、中島直さん

天竜川カヌー談義

水鳥の目線でカヌーで天竜川を下る
人が集える川、将来に残していける川に

諏訪湖を源として、伊那谷を流れ下る天竜川。堤防道路が整備され、ふだんは車窓から見ることが多い天竜川を水鳥の視線で見てみようと、十月二日、いなまいニューススタジオは、武田徹キャスターが南箕輪村から伊那市街地までをカヌーで下り、その景色をレポートした。
今回のいなまいニューススタジオでは、前回の番組でカヌーの案内役として武田キャスターとともに天竜川を下った木下啓さん、中島直さんとともに、改めて天竜川の現状とこれからを語り合った。
写真:天竜川カヌー談義(左から武田キャスター、木下啓さん、中島直さん)

木下啓(きのした・けい)さん
伊那カヌークラブ会員。天竜川水系を中心にカヌーに親しんでいる。伊那市在住。

中島直(なかじま・ただし)さん
ネイチャー・ナビゲーター・キオラ代表。カヌーをはじめ山スキー、などのコーチやガイドとして自然に親しむ。神奈川県川崎市出身。長谷村在住。

水路のようにまっすぐにしない
武田 先日は、ちょうどカヌーに乗ったところで工事をやっていましたが、天竜川はあんなに工事が多いのですか。
天竜川をカヌーで下る(10月2日、南箕輪村明神橋下流付近)
木下 そうですね。ちょうど釣りのシーズンが終わったので一斉に始まつたのだと思いますが、すごかったですね。
武田 あの日は中島さんといっしょにパドルを持って漕(こ)いだんですが、カヌーに乗っていると、回りに林があったりすると気持ちがいいですね。
中島 変化に富んでいると、やはり楽しいです。
武田 実際にカヌーをやっていて、天竜川がどんな川になってほしいと思いますか。
木下 非常に人工物が多くて危険な場所がかなりあります。カヌーに乗っている時だけでなく、もし流された時にも吸い込まれる危険がある場所とか。そういったところが少しずつ自由に行き来できるような環境づくり、ということと、水路のようにまっすぐにしない、ということですね。できるだけそういった形で残せたらいいですね。
武田 伊那の市街地に来ると護岸が単調でつまらないな、という印象がありました。中島さんはどうですか。
中島 まっすぐな水路というのは変化がないので、変化がある流れであったり、景色であったりするといいですね。
武田 カヌーだけでなく、散策したりする場合も変化があったほうがいいですよね。
木下 堤防に段差がついている場所が少ないので、川沿いに歩くということが、なかなかできないんですね。
武田 ところどころに親水公園もありますが、もうすこし木がないと…。
木下 ベンチは置いてあっても炎天下、というところが多いですね。

長谷村わくわく会議
武田 おふたりとも自然と親しむグループに入っているそうですが。
中島 長谷村わくわく会議というのに入っています。三峰川の源流から美和ダムまでの川を、これからどうしていこうかという話し合う集まりです。先日は長谷村の鹿嶺高原と巫女淵に現地視察にも行きました。
武田 どうでしたか。
中島 素晴らしかったですね。今年二月に長谷村に移り住んだばかりですが、山あり川あり、素晴らしいところだと思っています。会議には、三峰川と美和ダム湖に関心のある人、それと今話題になっている戸草ダムに関心のある人も多く参加しています。
武田 長谷村わくわく会議の皆さんの中では、戸草ダムについてはどんな感想ですか。
中島 実際にダム建設予定地も見に行きましたが、果たしてこんなに大きなダムが必要かどうかということをちゃんと自分たちも勉強して調べていきたいですね。

三峰川みらい会議
武田 木下さんは、三峰川みらい会議の会員だそうですが。
木下 昨年から仲間に入り、今はカヌーチームという班をつくって、三峰川をどうやって楽しんでいこうかということを検討しています。
武田 三峰川でカヌーはできるんですか。
木下 上流に行けば。あとは高遠ダム、美和ダムといったダム湖でできます。希望としては、高遠ダムの下を下りたいということがあって、ダムが放水した時に中島さんたちと下ったことがあります。その時は2.7トンの放水でしたが、その量だとカヌーが引っかかって危険なので10トン近く流していただけると、下まで下っていけると思うのですが。
中島 正面に中央アルプスが見えて、ほんとうに景色が素晴らしく、ここでカヌーでツーリングできたら素晴らしい川ですね。
武田 ふだんだと、水が少なくてカヌーを操るのが大変なんですか。
木下 ふだんはダムが全く放水していないので。魚を放流しても水が枯れてしまうので定着しないようです。

天竜川ゆめるーと
武田 木下さんは、天竜川ゆめるーとにも参加しているそうですが。
木下 天竜川をずっと下っていて、天竜川がこうなったらいい、ああなったらいいということを考えていました。これは、国土交通省主導で、民間のそういった意見を取り込んで工事を進めていこうというものです。天竜川に対する思いを語り合ったり、出し合ってひとつの方針を立てて、みんなで検討したり勉強したりしていこうという集まりですね。天竜川が始まる諏訪湖の釜口水門から県境までという長い範囲で取り組んでいるところは、全国にはほかに例がないそうです。
武田 どんな意見が出ていますか。
木下 もっと川に親しめるようなとか、安全にとか表面的なことが多く、具体的になっていかないので、自分たちも、もっと専門的な勉強をしようと講座を開いています。次回のテーマはダムです。

ゆめのある川
武田 天竜川は、ゆめのある川になりそうですか。
木下 すぐというわけにはいかないでしょうが、長い期間をかけて、できるだけ将来に残していける川に変えていく、そのわずかな部分を今やっているということですけれど。
武田 中島さんは、天竜川をどんな川にしたいですか。
中島 人が集える川にしたいですね。人がどんどん川に入ってくるような。水質、水量など、いろいろ問題はありますが、まず川に入ってみないと興味がわかないと思います。
木下 人の姿がある天竜川に戻ってほしいですね。できればダムがなくなって、遠州から川をつたわって人がこちらに来る、という昔の風景が再現されたら素晴らしいですね。

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