社会・くらし
【県野生鳥獣救護ボランティア 小口泰人さん】 [伊那毎日新聞]
駒ケ根市福岡
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(2007/11/18)
小学校1年生の時のこと。山の小川の土手に腰を下ろして遊んでいた。ふと見ると、1羽の小鳥が川の中の石から石を散歩するように、自分の方に近づいてはまた逃げていくのが目に止まった。
「手が届くほど近くにまで来たから、遊んでくれているように思えた。うれしかったよ。美しい鳥ではなかったがとてもかわいかった。今思えば、あのミソサザイは川で餌を捕っていただけなんだろう。でも自分にとっては小鳥が友達のように思えた初めての瞬間だった。あれが鳥とかかわることになった原点だね」
◇ ◇
県などの依頼を受け、野生鳥獣救護ボランティアとして傷ついた鳥を保護し、野生に帰す活動を続けている。。これまでに、傷ついた野鳥を600羽以上野生に帰してきた。特に猛禽(もうきん)類の放鳥率は90%を超える。
「人間は鳥が好きでかわいいと思っていても、鳥にとっては違う。人間は最も恐ろしい外敵なんだ。だから傷ついた鳥は、鳥が卵を温めるのと同じように胸に抱いて体温で温めてやる。鳥は心臓の鼓動も感じて安心するんだ。敵じゃないってことが分かって落ち着くと、ようやく餌も食べるようになる。鳥と気持ちがつながらないと駄目なんだ。考えるよりずっと難しいんだよ、野鳥の飼育は」
それだけに、見違えるように元気になった鳥が大空に飛び立って行く瞬間の充実感は何ものにも代えがたい。
「あの感慨は自分以外の誰にも分からんと思う。だけどね、いつもいつもうまくいくわけじゃない。どうしても助けられない時もある。鳥が死ぬのを『落ちる』というが、そんな時は本当に寂しくて悲しくて、残念な気持ちになるよ」
◇ ◇
長いこと、小学生のために野鳥教室や観察会を開いている。
「大事なことは子どものころから教えるべきだ。本当の自然を学ぶためにね。鳥の住まないようなまちをつくってはいかん。生き物は共存共栄だ。子どもたちには野鳥を通じて自然と命の大切さを少しでもわかってもらえたらうれしい」
(白鳥文男)
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